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以前、ゴン川野さんによる@DIMEの記事に触発され、SUNVALLEYの真空管アンプキット SV-P1616D(多極管仕様)を作ったことはブログに書きました。 その後、ビンテージ特有のトロリとした味わいを求め、カップリングコンデンサ、抵抗類などを換装したのでここにまとめてみます。
良い子は絶対真似しちゃダメ
金の無駄
いつものように結論から。
カップリングコンデンサ、抵抗類をビンテージパーツに換装しても大きな変化はありません。
正直、ビンテージ仕様にするだけ金の無駄でした。(ビンテージだからエージングや目覚めるのに時間がかかると言われますが、この改造は2019年9月頃に行っています。本記事執筆時点で改造から約6ヶ月以上経過しているのでエージングは完全に済んでいます)
ここから先は失敗談が続きますので、興味のある方だけどうぞ。
ビンテージパーツは恐ろしい
製造後、数十年経過しているビンテージパーツは劣化しているため本来の性能を発揮できないことがほとんどです。つまり使用する前に測定が必須です。
例えばコンデンサは容量抜けしているものがほとんどですし、ビンテージの世界では必ず登場するAllen Bradleyの抵抗器も実測抵抗値は15〜30%以上大きいなんてことは日常茶飯事です。(コンデンサが劣化すると容量抜けで数値が下がりますが、抵抗器は劣化すると抵抗値が上がります) 何も考えず測定せずに使ったら恐ろしいことになるのは想像に難くないですね。
4.7kΩの抵抗も実測値は5.14kΩに。これはまだまだ可愛い方。
※本記事を読んで真似する方は居ないと思いますが、未測定で使うと最悪の場合はアンプ破壊どころか火災にも繋がりますので、くれぐれもご注意ください。万一、本記事を真似て事故があった場合でも、筆者は一切の責任を負いません。
更に怖いのは値段
普通の抵抗器は1本¥1程度ですが、前述のAllen Bradleyの抵抗器は1本¥100以上することもあります。その差、実に100倍。
アンプは抵抗器を多く使用しますので、塵も積もれば山となります。
コンデンサも需要のあるものは非常に高価です。
まともに性能を発揮できないかもしれないのにこれではほとんど博打に近いです。
抵抗器の換装は無意味
Allen Bradleyのビンテージ抵抗器を英国のHifi CollectiveやeBayなどで買い揃え、少しずつ換装しながら試聴してみましたが、全く差がわかりませんでした。
残念ながら筆者のSV-P1616Dでは抵抗器の換装は無意味でした。
※金属皮膜抵抗は該当値の抵抗器が入手出来なかったのでデフォルトのままです。
他の方のブログなどを読んでAllen Bradleyの抵抗器にはとても期待していましたから、この結果には非常に落胆しました。
カップリングコンデンサの換装は微妙な差が
0.22μFのカップリングコンデンサはJensenのオイルコンデンサからWestcap社製のオイルコンデンサに、0.47μFはデフォルトのフィルムコンデンサからCornell Dubilier社製のBlackcatに換装。なお、換装・試聴はそれぞれ別の日に行いました。
最も違いが現れると言われる0.22μFのカップリングコンデンサ換装後は微妙な差がありました。
ほんの少しだけ滑らかになった印象ですが、微妙過ぎてブラインドでは分からないと思います。高級なJensenの立場が…😓
一方、0.47μFのカップリングコンデンサ換装後の差は全く分かりませんでした。
これも無意味だったと言えます。
この他、ついでに一部のコンデンサをオーディオ用コンデンサ(新品)に換装してみましたが、こちらも変化は分かりませんでした。
教訓、中途半端なパーツ換装はやめよう
今回はSUNVALLEYの真空管アンプキット、SV-P1616D(多極管仕様)でビンテージパーツを使ったわけですが、そもそもビンテージでもない本機にビンテージパーツを奢る意味が無いのです。(当たり前だけどやってみたかっただけ)
ビンテージパーツはビンテージ機材だけにしとけって事ですね😇
どうしてもやりたいならカップリングコンデンサの換装(ビンテージではなく現行品)にするくらいでやめておくのが吉でしょう。
おまけ
マルツのボリュームポットが良い!
左がオリジナル、右がマルツ(Linkman)のボリュームポット。
ボリュームポットのパーツ換装はかなり変わるとのブログ記事がいくつかあったので、ついでに試してみました。
ボリュームポットは東京光音やアルプスが有名ですが、マルツで販売されている「Linkman」の評判がやたらと良いのでコレにしました。
単価は何と¥134(税抜)!ビンテージパーツに比べたら可愛いもんです。
値段から推測できると思いますが、当然中国製で品質にバラつきがあるらしく、導入前の測定とガリのチェックは欠かせません。
測定とチェック後に換装してみると…こ、これは。
良い!
換装前のザワついた印象から一転、明らかにスッキリした出音に変化します。
少し重めのトルクが高級ロータリーミキサーのようでまたいい感じです。
SV-P1616Dのボリュームポットが安物だったこともあるのでしょうが、本記事に記載した全てのパーツの中で一番変化がありました。
あまりの良さにSV-S1616D、SV-Pre1616Dのボリュームポットもコレに換装したくらいです。
※換装の際はポットのシャフト長に気をつけましょう。(筆者が購入したのはシャフト長20mmですが15mmタイプもありました)また、はんだ付けの際も大きく空いた穴をメンディングテープなどで覆ってからの方が安全です。
本記事中に登場したデジタルメーターは1000VDCまで計測できるタイプで、筆者も真空管アンプの電圧計測に重宝してます。
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