脱ビギナー?サン・オーディオの真空管アンプキット、SV-2A3を作ってみた(その2)

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無事に納品されたサン・オーディオの真空管アンプキット、SV-2A3をいよいよ組み上げます。

SV-2A3はキットでも良質なパーツばかり

予めシャーシにパーツが取り付けられている

前回お伝えした通り、SV-2A3のシャーシにはトランスをはじめ予めパーツが取り付けられており、主な作業はハンダ付けのみ。
この取り付けられているパーツをよく見ると実に良質なものが多いことに気づきます。

トランスはタムラ製作所、電源インレットはTDKラムダのノイズフィルター付き、UX4P真空管ソケットは山本音響工芸、シールド線はBeldenASCのコンデンサなどなど。
また付属の配線材が太くてハンダ付けしやすいし、精神衛生的にも安心できました。反面、太いとよじるのは大変ですけどね。

ちなみに完成品はキットよりもグレードの高いパーツが使われています。
これらはアップグレードパーツとして販売してもらえます。

SV-2A3のハンダ付け

SV-2A3のハンダ付け

ハンダ付けは説明書通りの順番で行うことにしました。

電源周りのハンダ付け

まずは電源周り。
ここはトランスから出ているリード線が多く、メンディングテープなどでシャーシに仮留めしながら配線します。

ヒーター周りのハンダ付け

ヒーター周りもトランスから出ているリード線を使用するため仮留めしつつ、よじりながら配線します。

増幅部のハンダ付け

SV-EQ1616Dに比べれば全然大したことはありませんが、SV-2A3のハンダ付けでもっとも混み合う箇所が増幅部。

ここは大きめのパーツ(カーボン抵抗や電解コンデンサ)もハンダ付けするので、先にアースラインの配線を済ませておく必要があります。

SUNVALLEY製アンプ製作の時、付属のか細いシールド線はレアショートを恐れながらハンダ付けしたのでトラウマになりつつあったのですが、SV-2A3のBelden製シールド線はハンダ付けの際も安心感がぜんぜん違う! このシールド線は実にハンダ付けしやすかったです。

カーボン抵抗の極太リード線がメチャクチャ固くて慣れるまで時間がかかりました。
最初はカーボン抵抗のリード線をラグ板や真空管ソケット端子に意地でも絡げていたのですが、これでは端子の方にストレスが掛かりすぎて曲がってしまうため、無理に絡げるのは途中で諦めました。
色々と考えすぎて、カーボン抵抗のリード線に熱収縮チューブを付けたりしてしまいました。今考えても、これは要らんだろと思います(笑)

最大の難関?入出力部のハンダ付け

入出力部のハンダ付け

SV-2A3のハンダ付けで最大の難関は入出力部です。
先人たちのブログにも「極太スズメッキ線にハンダごての熱が取られてハンダが流れない」と書かれたものがちらほら。
筆者自身も過去に極太アース銅線をハンダ付けする際、同様に難儀した経験があったため予想はしていました。
しかし今は頼りになる相棒、500℃まで温度設定可能なハンダごて「白光 F600」があります。

極太スズメッキ線はハンダごての温度を500℃に設定して、手早くハンダ付けすることで乗り切りました。
ハンダ付けは上手く出来たものの、残念ながらスズメッキ線の曲げ方があまり上手く出来ず、きれいな「コ」の字型ではなく「U」のようになってしまいました😭

配線チェック〜音出し

配線チェック〜音出し

ハンダ付けの後、配線チェックを行い問題ないことを確認して音出し。
「ブゥーン」とハムノイズが出て驚きましたが、ハムバランサーが未調整だったためで、これを調整して完成です!

電圧チェック

SUNVALLEY製品のマニュアルは電圧チェック箇所や値がまとめられたページがあります。 一方、サン・オーディオにはそういったページはなく、回路図内に書かれた電圧がそれに相当します。
テスターがあれば回路図の電圧と比較し±15%程度ならOK、テスターがない場合はアンプをスピーカーに繋いでノイズチェック、ハムバランサー調整でOKです。

タイラップで配線をまとめる

音出しに問題がなければタイラップで配線をまとめて整えます。(当然、電源を切った後に行います。電源OFF後は10分以上置きます)
配線をまとめたり、曲げたり、這わせたりすることを「ワイヤリング」と言いますが、毎回これが実に難しいのです。
スズメッキ線のようにそもそも太くて曲げにくいものや、細い線材でも複数本をよじったことで曲げにくくなったものもあり、思ったようにワイヤリングするには経験不足を痛感しています。

完成後の音出しは忘れられない瞬間

シンプルな回路でパーツ数も少なく作りやすいキットではありますが、毎回音が出た時は本当に嬉しくて忘れられない瞬間です。

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作業時間は約14時間

SV-2A3の組み上げにかかった日数は4日、合計作業時間は約14時間でした。
毎回、アンプ製作の際は時間を忘れて没頭してしまうため、今回はきちんと時間をメモしましたが、あっという間でした。

2A3の音質傾向

エレキットの300B/2A3真空管アンプキット、TU-8900の製品紹介には次のようにあります。

ふくよかな中音域と重厚な低音が魅力の"300B"、繊細な表現力と優しい音色が魅力の"2A3"

同じメーカーの300Bと比べることが出来ないので一概には言えませんが、筆者の感想は
中〜高域がキレキレな300B、中〜低域が野太い2A3
でした。2A3は「優しい音色」と言うよりは「甘い(≠緩い)音色」と言った方がしっくりきました。
タムラ製作所製トランスのお陰か、ライブ音源での表現力はスピーカーのサイズを忘れるほど奥行きや立体感のある出音に圧倒されます。

なお試聴したシステム構成は以下のとおりです。

  • ソース:ハイレゾ音源
  • DAC RME ADI-2 DAC FS
  • プリアンプ:McIntosh C26
  • パワーアンプ(300B):SUNVALLEY SV-S1616D(300B仕様)
    ※300BはPSVANE、カップリングコンデンサはJensenのオイルコンデンサに換装。
  • パワーアンプ(2A3):サン・オーディオ SV-2A3
    ※真空管とパーツ類はデフォルトのまま。
  • スピーカー:Sansui SP-50(ユニットをStephens Trusonic 80FRに換装)

Stephens Trusonic 80FRはフルレンジで感度100db。無帰還アンプとの相性はバッチリと言えるのではないでしょうか。

SV-2A3一台で何度も楽しめる

前回も書いたとおり、SV-2A3は変更キットでSV-300BEにカスタム可能です。
さらに完成品で用いられるアップグレードパーツ(別売)も用意されており、デフォルトとの差を楽しむことも出来ます。
シンプルな回路でパーツも少ないですから、カスタムも比較的簡単そうです。
当分はデフォルトのSV-2A3で楽しんで、気が向いたらカスタムしようと思います。