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2021年12月下旬、真空管アンプのガレージキットメーカー、サン・オーディオが秋葉原出店25周年記念セールを開催(セールは既に終了)するのを知り、以前から目をつけていたSV-2A3を購入しました。
※価格、仕様等は本記事執筆時点のものです。
33年も売れ続ける超ロングセラーの真空管アンプ
サン・オーディオのSV-2A3、同KT88、同300BEシリーズは1989年にリリースされ、33年経った現在もマイナーチェンジを繰り返しながら売れ続けている超ロングセラー商品です。
ヤフオクや中古オーディオショップなどの中古市場で目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
筆者もその一人で、いつも眺めながら「欲しいなあ」と指をくわえて見ているだけでした。
オークションや中古ショップは(レアな真空管でもついていない限り)新品より安価ですが、どうせ買うなら作ってみたいと思っていたのでした。
SV-2A3を選んだ理由
SV-2A3を選んだ理由はいくつかあります。
- 超ロングセラー商品で、先人たちのノウハウが豊富にあること
- 真空管の王様と言われる300Bアンプは持っているのに、女王と呼ばれる2A3アンプを持っていないから
- 300Bアンプに改造可能だから
- 憧れのタムラ製作所製トランスを採用しているから
- 無帰還アンプだから
特に無帰還アンプは経験したことがないため、一度は作ってみたいと思っていました。
無帰還アンプについてオーディオ万華鏡(SUNVALLEY audio公式ブログ)では次のような表現がされています。
無帰還=”スッピン”と言うとイメージが湧きやすいかもしれません。少々下世話ですがスッピンでも美しい女性は確かに魅力的ですし、真空管アンプでいえば素材感(真空管の持ち味)を一番素直に見せてくれるのが無帰還であることに異論はありません。 しかしながらこの数十年でオーディオ(特にスピーカー)は大きく様変わりしました。1970年代までの100dB/w/mに迫る高能率スピーカーならまだしも現代の低インピーダンス/低能率スピーカーでは無帰還アンプの内部抵抗の高さ(ダンピングファクターの低さ)が最大の弱点になってしまうケースも残念ながら少なくないのです。
これは「高能率なビンテージスピーカーならば無帰還アンプの内部抵抗の高さは最大のメリットになる」という逆説も成り立つのではと考えました。
ビンテージスピーカーも使用している筆者は、逆に無帰還アンプに対して非常に興味を持つきっかけとなりました。
何事も経験あるのみ、ダメならオークションへ出品するか、改造用として弄り倒せばいいでしょうし。
ちなみにSV-2A3の仕様は以下の通りです。
使用真空管 (カッコ内は付属真空管メーカー) |
6SN7GTx2(Tang-Sol) 2A3x2(Sovtek) 5U4Gx1(Svetlana) |
---|---|
出力 | 3.5W + 3.5W |
入力感度 | 150mV |
入力インピーダンス | 100kΩ |
出力端子 | 8Ω / 16Ω |
周波数特性 | 15Hz - 30kHz/-3dB |
ノイズレベル | 2.5mV以下 |
外形寸法 | W360xH215xD270mm(突起部含む) |
重量 | 17.5kg |
15% OFFセールでSV-2A3とSV-300BE変更キットを購入
筆者が在庫をメールで問い合わせると、納期は2022年1月中旬ごろの予定とのこと。
昨夏のセールは金策できずに見送ってしまったため今回こそは!と迷わず発注しました。
変更キットで2A3→300Bに改造可能
SV-2A3はSV-300BEとほぼ同じ構造で、一部のパーツを換装する 「変更キット」でSV-2A3をSV-300BEにしてしまうことも可能。
SV-2A3の通常価格は¥217,800(キット価格。完成品は¥310,200)一方のSV-300BEは高槻電器工業の300Bが付属していることもあり高価(キット:¥363,000 / 完成品:¥455,400)なため、SV-2A3と変更キットで改造するユーザーが多いのだとか。
変更キットで2A3も300Bも楽しめるなんてお得かも?ということでこちらも同時に発注しました。
価格は約20万円
筆者購入時のセール価格と合計金額は以下の通りでした。
品名 | 価格 |
---|---|
SV-2A3(キット) | ¥185,130 |
SV-300BE変更キット | ¥9,200 |
送料 | ¥1,200 |
合計 | ¥195,530 |
ちなみに同じく真空管アンプキットを販売しているエレキットからは300Bと2A3を差し替えるだけで動作するTU-8900が昨秋リリースされています。価格は約13万円(真空管なし)で、こちらも非常に魅力的な機能と価格です。
昔ながらのやりとりが少々面倒かも
サン・オーディオはSUNVALLEYのようにオンラインショップがなく、注文はメール、決済も銀行振込か現金書留です。
一昔前のやりとりのようで懐かしく思いつつも、やはり少々面倒だなと感じてしまいます。
納品、そして開梱の儀
きたあああああー!#サンオーディオ SV-2A3キット(+300BE変更キット)着弾!!!!! pic.twitter.com/ZYfTynYtpd
— 🔊Audio Beginner (@AudioBeginner) January 18, 2022
そんなこんなで待つこと約1ヶ月。
2022年1月18日、ついに納品されました!
配達員から渡されたダンボールは異常なまでに分厚く頑丈、そして重い(重量17.5kg)!!
いざ開梱の儀。組立説明書と納品書が現れました。
その下からはトランスらしきものが見えます。
同梱物はこんな感じ。
アンプ本体のサイズからは想像がつかない重さです。
緩衝材を外すと、風格を感じさせるダークグレーの筐体が。
トランスには傷防止のためと思われるクラフト紙が巻いてありました。
クラフト紙の下には憧れの「TAMRADIO」マークがついたトランス。
パーツは値毎に小分けされ、値と番号まで手書きされていました。丁寧すぎる。。。
配線用線材も太くてしっかりしています。
SV-300BEへの変更キット。
銘板もついています。
付属真空管は全てロシア製です。
説明書が少々分かりにくいかも
同梱物をチェックし終わり、説明書を読んでみました。
A4横で表紙以外はモノクロ、要所々々は別ページの拡大写真を見るようにとあります。
自ら回路図を書いて自作出来るような諸先輩方には笑われるでしょうが、配線が重なる箇所などは色分けされていないと分かりにくいと思いました。
SV-2A3はシングルアンプで構造は単純、価格的に初心者が購入するようなキットではないことも確かですが、A3フルカラーでハンダ付けのコツや完成後の電圧チェック箇所・方法に至るまで書かれた、至れり尽くせりなSUNVALLEYの説明書と比べてしまうと、もう少しどうにか出来ないものかと思ってしまいます。
せめて説明書の配線に色くらいはつけても良いんじゃないかな。
構造は単純でパーツ数も少なく、難易度も高くはない
SV-2A3はシングルアンプで構造は単純、パーツも少なめ、かつ上の写真(これが納品時)のようにトランスや端子類など主要部品はシャーシに実装済のため、主な作業はハンダ付けのみ、と簡単そうに聞こえますが、やってみると意外と難しいのが世の常。極太リード線のカーボン抵抗になかなか慣れず、ラグ板やソケット端子に絡げるのに少し苦労しました。
ただ全体的な難易度は高くはないと思います。
筆者の製作したアンプのうち、難易度は以下のような順でした。
が多いほど高難易。最高5。
SUNVALLEY SV-EQ1616D
SUNVALLEY SV-Pre1616D
SUNVALLEY SV-P1616D 多極管仕様
サン・オーディオ SV-2A3
SUNVALLEY SV-S1616D 300B仕様
Elekit TU-8100
その2へ続きます。