Anker Nano II 45W他3種をVolumio用電源として使ってみた比較試聴レビュー

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Ankerから2021年5月に発売開始されたGaN採用のACアダプター、Nano II 45Wを購入したので、Volumio用電源として使ったレビューをしてみます。

Volumio:Volumioは手軽にハイレゾが楽しめるMPD(Music Player Daemon)です。詳しくは過去の記事で取り上げていますので興味のある方は是非ご覧ください。
👉 Raspberry Piでハイレゾ再生環境をつくってみた(その1・Volumio下準備編)
👉 Raspberry Piでハイレゾ再生環境をつくってみた(その2・Volumioインストール編)

結論:手軽に音質向上したい方はマストバイ

結論から書くと、Anker Nano II 45Wは非常に良かったです。
同製品はノーマルスイッチング電源同様のスイッチングタイプですが、全く異なる傾向かつ高音質でした。
Volumioユーザーで手軽に音質向上を目指したい方はマストバイアイテムです。

スイッチング電源:スイッチングトランジスタなどを用い、フィードバック回路によって半導体スイッチ素子のオン・オフ時間比率(デューティ比)をコントロールする事により出力を安定化させる電源装置である。スイッチング式直流安定化電源とも呼ぶ。商用電源の交流を直流電源に変換する電力変換装置などとして広く利用されており、小型、軽量で、電力変換効率も高いものである。一方で、高速にスイッチングを行う事からEMIが発生しやすい。(Wikipedia

熱とノイズを抑えたAnker Nano II 45W

Anker Nano II 45W

Anker Nano II 45Wは同社の商品説明によると

約2年の研究開発を経てGaN(窒化ガリウム)搭載USB充電器が第二世代に進化。電源ICと回路設計に革新を起こしGaNの持つ素材の力をさらに引き出したAnkerの独自技術です。スイッチング周波数を高めて電子部品を省サイズ化するとともに、高周波化の弊害として発生する熱およびEMI(ノイズ)を、内部基板部品の立体配置と回路構造の最適化(PCBA 3D スタッキング)で抑えました。結果として、厳しい安全基準を満たしながらさらなる小型化に成功しました。

とのこと。

自作リニア電源を制作して試したことでVolumio用電源の重要性は体験していますから、余計に「高周波化の弊害として発生する熱およびEMI(ノイズ)を抑えた」という点は見過ごせません。
というわけで、早速Volumio用電源として試用してみることにしました。
が、Anker Nano II 45Wは発売直後から売り切れ続きで、ようやく入手したのが7月7日でした。しかも入手翌日には30Wと65Wタイプが発売されてしまうというタイミングの悪さ。
それはともかく、折角なので先日自作したばかりのリニア電源とノーマルスイッチング電源、そしてAnker Nano II 45Wの3種を聴き比べてみました。

窒化ガリウム:窒化ガリウム(ちっかガリウム、GaN)はガリウムの窒化物であり、主に青色発光ダイオード(青色LED)の材料として用いられる半導体である。また、近年ではパワー半導体やレーダーへの応用も期待されている。ガリウムナイトライド (gallium nitride) とも呼ばれる。GaN を他の半導体と比較して、 1. 熱伝導率が大きく放熱性に優れている 2. 高温での動作が可能 3. 電子の飽和速度が大きい 4. 絶縁破壊電圧が高い などの優位性から半導体デバイスとしての応用が大いに期待されている。 (Wikipedia

はじめに

ここで書く試聴の印象はあくまで筆者の環境において感じたものです。
すべての人に共通するものではありませんし、機材や部屋の環境によっても異なります。 個々人の好みもありますので参考程度に考えて頂ければ幸いです。

筆者の環境

筆者の比較試聴環境は以下の通りです。

今回は寝室用システムで使用しているVolumioの電源として比較試聴しています。
試聴はいつものKeith Jarrett「The Köln Concert」で行いました。

Volumio用電源3種を聴き比べ

評価基準

総合、高音、中音、低音、音場、音像、コスパの7項目を以下のようなレーダーチャートで表示しています。総合は他の6項目の平均値で、各項目の最高点は5、最低は0です。

音場・音像とは:音場とは、音楽が聴こえてくる空間のことです。まず、ボーカルとか楽器の音が、その場所に楽器があるかのように再生される様を音像と呼びます。(ONTOMOのブログ

Anker Nano II 45W(¥3,390 @Amazon)

Anker Nano II 45W

大きめのサイコロのような印象のAnker Nano II 45Wのサイズは35 x 38 x 41mmで、手のひらに3〜4個は載せられそうです。
「どうせスイッチング電源なんだし、あんまり変わらないでしょ」と、なめてかかっていた筆者の予想は良い意味で大きく裏切られました。

レビュー

全てをギュッと凝縮したような印象で、ガッツある出音。
まとまりというより音そのものも凝縮された塊のようで、今回の比較試聴した3種の中では緻密かつ一番パワーがある。
反面、スケール感が少なく、若干臨場感に欠ける。

Anker Nano II 45W

しかし、こんな小さなアダプターなのにパワー感はダントツ。 2〜3時間程度使用しても全くと言っていいほど熱を持たないのには驚きました。

ちなみに筆者は45Wタイプで試しましたが、ライズパイ用として使うには本記事執筆中にリリースされた30Wタイプ(¥2,990 @Amazon)で全く問題ないです。30WタイプでもVolumioだけでなくiPhoneやスマホ、タブレット用としても使える(というかそっちの方が正しい使い方ですが)ので、たとえラズパイオーディオをやめても使いみちに困ることはないでしょう😉

自作リニア電源(約¥7,000)

自作リニア電源

先日、電子工作クラブの記事を参考に筆者が自作したリニア電源。
制作費は約¥7,000(パーツ代のみ)で、お世辞にも安いとは言えませんが、その効果は絶大でした。(詳しくは過去の記事に書いています)
ただ、工具等を持ち合わせていない方には非常にハードルが高いのが難点です。

レビュー

Ankerほどパワーや緻密さはないものの、全体的なバランスは一番良い。
Ankerの後で聴き比べると色付けのない自然な出音であることがよく分かる。
特にスケール感の表現は他を軽く凌駕。ライブ盤ではそれが如実に現れる。

自作リニア電源はAnkerより好印象でした。
ただし音質向上面以外に、筐体が大きい、三端子レギュレータの発熱がある、制作コストがかかるなどのデメリットもあります。

ノーマルスイッチング電源(¥1,139 @Amazon)

ノーマルスイッチング電源

Raspberry Pi 4と同時に購入したノーマルスイッチング電源は、よく見かけるアダプター形式。
通常はこれでも十分満足できるのですが、比べてしまうともう戻れません😇

レビュー

量感はあるが、3つの中ではまとまりがイマイチ。
特に高域の伸びが鈍い。
初めて聴く分にはこれでも十分高音質だと思う。が、3種を比較試聴してしまうとスカスカな印象が否めない。

まとめ

Anker Nano II 45WをVolumio用電源として使ってみると、見た目からは想像できないほどパワーがあり、マッチョな印象でした。
ノーマルスイッチング電源の約3倍の値段ですが、リニア電源のように自作する手間も時間も不要でサクッと音質向上出来る、しかも小型で発熱もないとくれば買わない手はないでしょう。Volumioユーザーはマストバイアイテムです。

Anker Nano II 45Wはパッケージや筐体に高級感あり

音質には関係ありませんが、パッケージや筐体に高級感があるのも非常に好感が持てました。

Anker Nano IIはケーブル別売

最後に、多くの充電器同様にAnker Nano IIにはケーブルは同梱されていません。 同製品と接続する際、Raspberry Pi 4の場合はUSB Type-C ⇔ Type-Cが、Pi 3の場合はmicro USB ⇔ Type-Cのケーブルがそれぞれ必要です。Anker Nano II購入時は忘れずにケーブルも用意しておきましょう。
筆者はAnker PowerLine III USB-C & USB-C 2.0(0.3m)を使って接続しましたが、給電だけならUSB 3でなくUSB 2.0でも十分です。