ハイレゾサブスクサービス、TIDALをアルゼンチン・ペソ決済で契約してみた

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Amazon Music Unlimited

※残念ながら、2023年8月下旬頃からTIDALはVPN経由によるアルゼンチン・ペソ決済を拒否し始めました。 これ以降、同国国内の銀行口座と紐づいたクレジットカードのみが利用可能となっているようです。
※筆者も登録していたAmazonクラシックカードを拒否されたため、ブラジルのVPN経由でアカウントを作り直してPayPal決済(HiFi PlusプランはBRL33.8=約¥1,010/月)に変更しました。この方法はイタチごっこが予想されるため、いずれ同じようにTIDAL側から拒否される可能性があることを念頭に置いた方が良いでしょう。

先日、思い立ってハイレゾサブスクサービス「TIDAL」を契約してみました。
最安値とされるアルゼンチン・ペソでの決済方法についても触れておきます。
以下、全てMac上で操作しています。スマホやタブレットでも可能ですが、パソコンの方がやりやすいと思います。
※表示価格は本記事執筆時点のものです。為替変動等により、実勢価格が変わる場合もあることに注意してください。

TIDALとは

TIDAL

Tidalは「潮汐」、「潮」、「潮の満ち引き」などの意味で、発音記号は「táidəl」、カタカナ読みでは「タイダル」が近いです。
もはや説明不要なレベルでその勢いを拡大しているハイレゾサブスクサービス「TIDAL」は、2014年にノルウェーのAspiro社(本籍はスウェーデン)が創業。
翌2015年に同社は、ラッパーのJay-Zが経営するProject Panther Bidco社によって買収、2017年には米国の携帯電話会社Sprint社が株式の33%を買収。
2021年、金融テクノロジー企業のSquare社(現Block社)がTIDALの株式の過半数を取得することに合意したと発表しました。
ちなみにJay-ZはTIDALの取締役です。また、先述のSquare社はTwitterの共同創設者ジャック・ドーシーが設立した会社です。

2023年8月現在、1億曲以上の楽曲と65万本以上の動画を75カ国(同社サイト内Availability by Country)で配信しています。
TIDALは本記事執筆時点でも日本ではサービスインしていませんが、VPNを利用することで契約が可能です。

TIDALを契約してみる

2つの契約プラン

TIDALにはHiFiとHiFi Plusの2つのプランが用意されています。
HiFiは16ビット/44.1kHz、HiFi Plusは24ビット/192kHzで、後者は更にハイレゾFLAC、Dolby Atmos、Sony 360 Reality Audio、FLAC、MQA形式でもデータが提供されます。
課金するなら考えるまでもなくHiFi Plusプラン一択ですね。

TIDAL最安値はアルゼンチン

TIDALはユーザーの居住国の通貨で決済が出来る(例外もあり)のですが、各国の物価に合わせた価格設定がされています。これは為替の関係上、国により価格差が生まれることも意味しています。
各国の料金を調査・公表してくれているオトログによると、最安値はアルゼンチン。
オトログの記事では145ペソ(約74円)ですが、2023年8月1日に全世界で料金が値上げされ、本記事執筆時点で570ペソ(約290円) になっています。



直近10年のペソの推移

ここまで安い理由は、アルゼンチンが債務不履行を何度も繰り返し、同国通貨「ペソ(通貨コードはARS)」の信頼が失墜して暴落しているからです。
上のグラフを見て頂ければ一目瞭然、ペソの価値(対日本円)は、この10年で98%下がっています。
「ARS145がARS570に値上げ」と聞くと、めちゃくちゃ高い印象を受けますが、ペソの価値が下がり続けているため、さほど大きな値上げとは言えないでしょう。
なお、同国の平均月収はARS33,306(約16,800円)で、日本の平均月収(約37万円)の1/22程度です。

TIDALの契約はVPNサービスを使おう

VPNのプロキシサーバー機能を応用する

VPNとはVirtual private networkの略。
セキュリティの懸念がある無料Wi-Fiのようなサービスを安全に使うために利用経験のある方もいるでしょう。
VPNにはジオブロッキング(Geo Blocking: ユーザーの地理的位置に基づいてインターネット コンテンツへのアクセスを制限するテクノロジー)を回避するプロキシサーバーも提供されます。
簡単に言うと、実際は日本に居るユーザーがVPNを使って他国からアクセスしているように見せかけるわけです。
このプロキシサーバーを応用して、本来日本でサービスインしていないはずのTIDALも契約出来ます。

VPNアプリ「TunnelBear」を使う。ただし国コード「ZZ」に注意



TunnelBear

小難しい話が続きましたが、アルゼンチン経由で契約するためにはVPNアプリ「TunnelBear」があればいいんです(笑)

更に付け加えておくと、以下の2点も気をつけておくとよろしいかと思います。(こうした抜け道的方法を使う非アルゼンチンユーザーに対してTIDALが対策を講じ始めているとの話もあります)

  • TIDALのユーザー登録をする際のメールアドレスは末尾が「.jp」以外のもの
  • 契約する際のクレジットカードはVisaかMaster

話を戻します。
TunnelBearは毎月2GBまでVPN接続が無料で使えます。
今回のように会員登録〜決済するだけなら余裕で容量範囲内なので、全く心配はありません。



TunnelBearでアルゼンチンへ接続

インストール後、アカウントを作成しTunnelBearを起動して地図上からArgentinaを選びます。
本来ならこれで万事OKなはずですが、TunnelBearから提供されるIPアドレスの国コードが「ZZ(不明または不特定の国)」となる場合があります。(アルゼンチンの国コードは「AR」です)

このままTIDALの契約を進めようとすると「Unfortunately TIDAL is not currently available in your country.(残念ながら、TIDAL は現在お住まいの国ではご利用いただけません。)」と表示され、それ以上何も出来ません。
この場合、後述のTunnelBearの設定からVPN Protocolを変えてみると上手くいくことがありますが、提供されるIPアドレスが都度変わるため、いつも上手くいくとは限りません。日や時間を改めて試してみましょう。

国コードのチェック方法



CMANで国コードのチェック

国コードはCMANのドメイン/IPアドレス サーチを使うと分かりやすいです。

  • 「現在のIPアドレス」をクリック
  • 「無料でご利用いただけますが「ご注意・制約事項」を確認下さい」にチェック
  • 「管理情報照会実行」をクリック



「country」がZZの場合は×

画面遷移後の「country」がARになっていればOK、ZZの場合はVPN Protocolを変えて試してみてください。

TunnelBearのVPN Protocolの変え方

TunnelBearのVPN ProtocolはAuto、WireGuard、OpenVPN、IKEv2の4種類が用意されています。 これを変えることで、接続先のVPNが変わりIPアドレスも変更されます。 運が良ければ国コードがZZからARになります。
※必ず国コードがARになる保証はありません。



TunnelBearのVPN Protocol

変更方法はTunnelBearの
Setting → Connectionタブ → VPN Protocolのプルダウンメニュー
から行えます。

TIDAL契約後の画面



TIDAL契約後の画面

国コードがARでTIDALの契約が完了すると、「Your Subscription」では上の画像のように表示されます。 「$570 / month」となっているのが確認できますね。ここでの通貨記号は米ドルではなくアルゼンチン・ペソなので約290円です。(前述の通り、アルゼンチン・ペソの通貨コードはARSですが、通貨記号は$のため、AR$や単に$と表記されることもあります
筆者はAmazon MasterCard クラシックで問題なく決済完了出来ました。

追記)2023年9月1日
その後、2023年8月27日付けでTIDAL MUSICから¥241の引き落としがありました。
同日前後の為替相場はARS1=¥0.42でしたので、¥0.42×570(ARS)=¥239.4で大体相場通りでした。

TIDAL契約完了!噂に違わぬポテンシャル!



TIDAL

TIDALのパソコン用ソフトをダウンロード後、お気に入りアーティストやジャンルを登録。メインシステムでいくつか再生してみたところ、噂に違わぬ音質に頷くばかり。

普段、アナログだけで聞いていた音源も、ハイレゾの圧倒的な奥行き感の前には霞んで聞こえてしまいました。もっと早くにTIDALを体験しておくべきだったと後悔すらしています。
ハイレゾストリーミングでコスパはダントツと思われたAmazon Music Unlimitedも悪くないと思っていたのですが、ギュッと凝縮されたようなTIDALの音質と比べると、Amazon Music Unlimitedは薄っぺらい印象があります。
ちなみに、当記事執筆時点でのメインシステムは以下の通りです。

  • プリアンプ:McIntosh C26
  • パワーアンプ:McIntosh MC30 x 2
  • スピーカー:Stephens Trusonic 206 AX(オリジナル米松キャビネット)
  • DAC:RME ADI-2 DAC FS
  • TIDAL再生機:Mac mini (mid 2010)

オフィシャルソフトの完成度の高さにも感心しました。



TIDALは16言語対応

ソフトの基本言語は英語を初めとした16言語から選択可能。日本でサービスインしていないため、日本語はありません。
とは言え、特に難しいことはなく直感的に操作できます。

なお、アルゼンチン・ペソで決済すると、TIDALからのメールは同国の第一言語であるスペイン語で届きますが、スパムメールと勘違いしないよう気をつけましょう。
また、「Featured(「特集」の意味)」にスペイン語圏の方が出てきたりもします。

やはりRoonが必要

TIDAL単体でも全く文句はないのですが、関連や影響を受けたミュージシャンまで音楽体験としてパッケージ化したRoonに興味を抱かずにはいられません。
次回はRoonについて書こうと思います。(書きました