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前回に続きRME ADI-2 DAC FSのレビューです。
今回は主にRaspberryPiのI2S DAC、Oppo BDP-95との比較試聴です。
結論:ラズパイとは次元が違う
結論から述べると、ハイレゾ音源再生プレーヤーとして愛用中のRaspberryPiのI2S DACとでは次元が違い過ぎました。
一方、ユニバーサルプレーヤー、Oppo BDP-95は前者ほど大きな違いはないものの、想像以上に芯の太さやクリアさに差がありました。
「DACなんてどうせすぐに新製品が出るから高級機買っても意味ないじゃん」
と斜に構えていた筆者でしたが、実際に体験してみるとそんな陳腐な考えは吹き飛びました。
現在のオーディオシステム
筆者の現在のメインのオーディオシステムは以下のとおりです。
ADI-2 DAC FSを導入前はNAS(Synology DS215J)に保存してあるハイレゾ音源をRaspberry Pi 4BにインストールしたVolumioを使って再生していました。
ハイレゾはRaspberry Piで十分と思っていたのですが、「もう少しだけ先を見て(聴いて)みたい」衝動に駆られてADI-2 DAC FSを導入。ついにデジタル沼にも手を出してしまいました。
比較試聴
スペック比較
まずはスペックを簡単に比較してみます。
機種 | DACチップ | 対応サンプルレート | 価格 |
---|---|---|---|
iQaudiO Pi-DAC+ |
TI Burr-Brown PCM5122 |
24bit/192kHz | $27 |
Oppo BDP-95 |
ESS Technology ES9018 |
24bit/192kHz | $999 |
RME ADI-2 DAC FS |
旭化成 AK4493 |
32bit/768kHz DSD 11.2MHz |
¥128,000 |
RaspberryPiとの比較試聴
最も導入の効果を感じたのがハイレゾ音源でした。
※ハイレゾの定義については以前の記事に詳しく書いています。
比較がしやすいようにMPDはVolumioのまま、RaspberryPiとADI-2 DAC FSをUSB接続して試聴してみました。
凄まじいまでのリアリティ
RaspberryPiとADI-2 DAC FSをオヤイデのUSBケーブルで接続し、筆者にとっては定番のKeith Jarrett “The Köln Concert”(96kHz/24bit)を再生してみると、凄まじいまでのリアリティに思わず鳥肌が立ちました。
特に空気に吸い込まれていくように消えていくピアノの残響音や会場のサイズ感が全然違います。
リファレンスとしてよく使われるNorah Jones “Come Away With Me”(192kHz/24bit)も同様に目の前で歌っているかのような生々しさ。ベースやギターは言うに及ばず、口の開き方・抑揚をこの目で見ているかのようです。
眼の前の霧が晴れていくよう
コンポから本格的なオーディオ機材に買い替えた時のことを四半世紀経った今でも昨日のことのように覚えています。あの時に感じた眼の前の霧が晴れていく様、まさにその再現でした。
ハイレゾ音源にはまだこんなに旨味があったのか!と驚くばかりです。
ただし、これはスペック性能差もあるとは思います。
ADI-2 DAC FSは32bit/768kHzまで再生可能ですが、RaspberryPiはハードウェアの仕様上、32bit/384kHzまでしか再生できません。
しかも今回使用したI2S DACの対応サンプルレートは24bit/192kHz、やはりこの差は大きいと思いました。
同時にRaspberryPiとI2S DACは、合計たったの1〜2万円でここまで出来ることが証明されたのが嬉しくもありました。
やはりラズパイオーディオはコスパ最強のハイレゾ再生環境です。中華製DACであれこれ悩むよりラズパイオーディオでI2Sの鮮烈な衝撃をぜひ一度体験してみて欲しいです。
※Raspberry Piでハイレゾ再生環境をつくる方法やVolumioのインストール方法については過去の記事で詳しく書いています。
Oppo BDP-95との比較試聴
次にOppo BDP-95との比較試聴をしてみました。
BDP-95のみの場合とBDP-95とADI-2 DAC FSをコアキシャル(同軸ケーブル)で接続してCDを再生した場合、ハイレゾ音源ほどの差は感じないものの、後者の方が想像以上に芯が太く、全体的にクリアになっていることが分かりました。やはり変わるものですね。
BDP-95は購入からちょうど10年経ちますが、この内蔵DAC(ESS Technology ES9018)もなかなかのものです。
SACDはデジタルで再生できない
ついでにSACDを試してみました。 ところがどうやっても音が出ず、ADI-2 DAC FSのディスプレイにも何も表示されません。 ADI-2 DAC FSを経由せずBDP-95からプリアンプへ直接出力した場合は聞こえるのにおかしいなあ、と検索してみるとSACDはデジタル出力出来ないことを初めて知りました。
著作権保護のため、S/PDIFなどからのデジタル出力が許可されていなかった(Wikipedia)
実はBDP-95をコアキシャルで繋いだのは今回が初めてで、SACDのデジタル出力云々すら考えたこともなかったのです。(HDMIで映像と音声を分離した後ならデジタル出力可能)また一つ勉強になりました。
まとめ
DACはついついそのスペック、特に対応サンプルレートの高さや多さに目を奪われがちです。
正直、ADI-2 DAC FSより新しくて安くて多機能なDACも沢山ありますが、 機能や入出力はある程度絞ってある方が断然扱いやすいと思いました。
DAC選びでお悩みの方やラズパイオーディオをステップアップしたい方にはADI-2 DAC FSはめちゃくちゃオススメできます。
RME ADI-2 DAC FSとVolumioの接続方法
ADI-2 DAC FSとVolumioの接続方法についても触れておきます。
Volumio側は単純にADI-2 DAC FSとRaspberry PiをUSBケーブルで繋ぎ、設定を変更するだけです。Windowsのようにドライバをインストールする必要はありません。
RME ADI-2 DAC FS側はUSBケーブルを接続するだけで認識してくれるので、こちらは基本的に設定不要です。
Volumioの設定は次のように変更します。
- 設定 → プレイバックオプションの最上段「オーディオ出力」の「出力デバイス」をADI-2 DACに変更。
- 「I2S DAC」をOFFに変更。
- 「プレイバックオプション」の「DSD Playback Mode」をDSD over PCM(DoP) に変更して「保存」ボタンを押す。
- RME ADI-2 DAC FSとRaspberryPiをUSBケーブルで接続してVolumioを再起動。
※DSD再生はDSD DirectでもOKですがVolumio、RME ADI-2 DAC FS共に音量調整が無効になります。
※USB経由でRME ADI-2 DAC FSを接続した場合のDSD再生はDSD64で176.4/192kHz、DSD128で352.8/384kHz、DSD256で705.6/768kHzのサンプルレートで処理されます。