ViewSonicの4K/HDR短焦点プロジェクター「X10-4K」使用レビュー

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7月に行われた夏のPayPay祭りフィナーレジャンボを目当てにViewSonicの4K/HDR短焦点プロジェクター「X10-4K」を購入、約2週間使用したレビューを書いてみます。

9年落ちの短焦点ビジネスプロジェクターから買い替え

筆者宅で使用していたプロジェクターは2012年に購入したもので、丸9年が経過しました。
当時、コスパやレビューから検討して、購入したのがTAXANの短焦点ビジネスプロジェクター「KG-PS301WX」でした。
80インチの大画面に1.24mで投影可能、大きさはA4サイズ程度、重さは約2kg弱、明るさは2400lm、当時の価格は約7万程度でした。
上を見ればキリがないことは分かっていましたが、やはり解像度や発色に不満が残りました。

天吊金具

筆者宅のプロジェクター周りの配線は見えないように設計し、天吊固定にしています。
金具は動かせないため、プロジェクターの買い替え時はスクリーンサイズ(80インチ)と投影距離(約1.44m)を考慮して選定する必要があります。後述しますが、プロジェクター投影距離は各メーカーがシミュレーターを提供していることが多く、導入前はこれを使ってシミュレーションするのが良いでしょう。

スパイダー2

ちなみに天吊金具はシアターハウススパイダー2、スクリーンは同社製電動スクリーンを愛用しています。
どちらも9年経過しても全く問題なく、特に様々なタイプのプロジェクターに柔軟に対応出来る天吊金具の設計は本当に良く出来てるなあと感心します。

ViewSonic X10-4K 導入前

EPSON EH-TW7100をレンタルしてみる

dreamioホームプロジェクターレンタルサービス

EPSON EH-TW7100は買い替え候補の1つでした。
同機を含む5機種はdreamioホームプロジェクターレンタルサービスでレンタルが可能です。

筆者宅はプロジェクター位置を固定した想定で新築しており、天吊金具も移動できません。(出来なくはないのでしょうが、正直面倒くさいのでやりたくないのです) そのため、投影サイズ・距離や本体サイズなど、かなり限られた条件をクリアした機種でないと設置不可となってしまいます。
買ってから「設置できなかった」なんて悲劇を回避するためにも、購入前に実機を試せる貸し出しサービスを使わない手はありません。

到着したEH-TW7100は想像以上に大きく、投影距離も合いませんでした。
1.6倍ズームもあればサイズが合うだろうと見ていたのに、いきなり購入しなくて本当に良かったと思いました。

1週間レンタルしてみた感想としては、やはりビジネスプロジェクターとは比べ物にならないほど画質が良かったです。
特に最大輝度3000lmはポイントが高く、多少部屋に光が入っていても投影結果にはほとんど関係なく実にキレイな画を映し出してくれていました。
色調設定項目が豊富なので、色合わせをじっくり取り組みたい方には嬉しいポイントじゃないでしょうか。

ダントツにイケてるデザインのViewSonic X10-4K

ViewSonic X10-4K

「そろそろプロジェクターの買い換えを」と思っていた2019年末にリリースされたのがViewSonic X10-4Kでした。
白を基調とした丸みのあるデザインばかりの中で、黒をベースにした角型の筐体は異彩を放ち、他のプロジェクターとは完全に一線を画しています。
同機がリリースされてから約1.5年が経過していますが、これを超えるデザインの短焦点プロジェクターはまだ登場していません。

なお、価格.comのプロジェクターカテゴリでの人気売れ筋ランキングは本記事執筆時点で9位、短焦点プロジェクターとしては2位をキープしています。

ちなみにViewSonic社は台湾出身のJames Chuによりアメリカで1987年に設立(設立当時の社名は「キーポイントテクノロジー」)され、主にディスプレイを製造してきた会社です。同社は1998年に米国で最大の独立系モニターブランドになりました。

事前にシミュレーターを使って投影距離をチェック

EPSON EH-TW7100を設置前にじっくり調査しなかったミスを再び犯さないためにも、今回は入念に事前調査しました。

Projector Distance Calculator

今回は同社の距離シミュレーター、Projector Distance Calculatorを使って投影距離をチェックし、問題ないことを確認した上で購入しました。

PROJECTOR CENTRAL

メーカーがシミュレーターを提供していない場合はPROJECTOR CENTRALなどを使ってみるのも手です。

距離の測定はメジャーよりもレーザー距離計があると便利です。
BOSCH ZAMO3は手のひらサイズでとても使いやすく筆者も愛用しています。

ViewSonic X10-4K 導入後

とにかくデザインがいい

X10-4Kは前述の通りデザインに惚れました。

やっぱりデザインがイケてる

ViewSonic X10-4K

うーん、実にかっこいいです。
EPSONには悪いけど、X10-4Kを見てしまうと白くて丸いデザインは野暮ったくて仕方がないですね。

リモコンのデザインもイケてる

ViewSonic X10-4Kのリモコン

X10-4Kは超絶シンプルなリモコン。真ん中の円形のシルバー部分はジョグホイールとしてグリグリ回すことが出来ます。
ボタンだらけになりがちなAV機器のリモコンはこのデザインを見習ってほしいですね。

harman kardon製スピーカーも侮れない

harman kardon製スピーカー

X10-4Kにはharman kardon製スピーカーが内蔵されています。
出力は8Wですが、最初に電源投入した際は「この小さな筐体のどこから音が出ているんだろう?」と思うくらい良い音がしっかり出ます。下手なスピーカーより内蔵スピーカーの方が良いかも知れません。

更にこのスピーカーはBluetoothスピーカーとしても機能するため、スマホやタブレットのスピーカーとしても利用できます。

WXGA→4Kはキレイ過ぎて泣けるレベル

肝心の画質は何も文句がないほどキレイです。
WXGA(1366×768)から4K(3840×2160)に変わったことで解像度が約3倍、今まで見ていたものは一体何だったんだろうと疑いたくなるほどの差に戸惑いました。
価格.comのレビューでは「画質は普通」と書いているユーザーがいますが、筆者には十分すぎるほどキレイです。

特に黒の描画が実に繊細で、2Dなのに画に奥行きが出来ます。
筆者はAmazonプライムビデオのQello Concerts by Stingrayで洋楽アーティストのライブを観ることが多いので、黒の描画が繊細だとライブの臨場感もグッと増します。

80インチなら昼でも可

元々使用していたTAXAN KG-PS301WXの明るさは2800lm、レンタルしたEPSON EH-TW7100は3000lm、ViewSonic X10-4Kは2400lm。数字だけ見るとX10-4Kの方が劣っています。が、実際に投影してみるとX10-4Kの方が断然明るかったです。

昼間の投影

筆者宅で使用している80インチのスクリーン程度なら昼でも見えます。

夕暮れ時の投影

夕暮れ時はこんな感じ。

夜間の投影

夜、照明を全部落とすとやっぱりキレイです。

必要な明るさの目安

必要な明るさの目安

(表は映像システムより引用)

プロジェクターの明るさを示す単位はルーメン(lm)を用いますが、スクリーンサイズ(投影面積)によって明るさを検討するのがベターです。
X10-4Kの明るさは2400lm、80インチに必要な目安の2266lmをクリアしています。

必要十分な画像設定

X10-4Kはプリセットのカラーモードが5種類(明るい、テレビ、ゲーム、映画、ユーザー1/ユーザー2)あり、それぞれ輝度、コントラスト、色温度、色調、彩度、シャープネス、ガンマ調整、カラーマネジメントを調整出来ます。
筆者はプリセットの映画モードのまま、他は全く触っていませんが、調整項目はこれで必要十分かと思います。

入力端子が豊富

X10-4Kは入力端子が豊富

X10-4Kは2系統のHDMIをはじめ入力端子が豊富です。

  • HDMI 2.0(HDCP1.4/2.2) x2
  • USB-type C x 1
  • オーディオミニジャック x 1
  • USB type A (USB3.0) x 1
  • USB type A (USB2.0) x 1
  • Micro SD (64GB, SDXC) x 1
  • RJ45 (ETHERNET LAN) x 1

Micro SDカード対応でデジカメやパソコンのデータをサクッと見る事ができるし、USBメモリースティックもOK。
これだけあれば不満はないですね。

仕様

X10-4Kの仕様
項目 内容
パネルタイプ DLP
光源 LED光源
最大輝度 2400ルーメン
コントラスト比 3000000 :1
アスペクト比 16:9
パネル画素数 3840x2160
パネルサイズ 0.47インチ
対応解像度規格 VGA~4K
最大表示色 10億7000万色
騒音レベル 30dB
映像入力端子 HDMI / USB
サイズ 261x166x271mm
重量 4.1 kg
投影距離 60インチワイド 1.06~1.41m
80インチワイド 1.41~1.77m
100インチワイド 1.77~2.12m

ViewSonic X10-4Kの4つの弱点

ほとんど弱点がないと思われたX10-4Kですが、使っているうちに細かな点も気づきました。

弱点その1:ズーム、レンズシフトがない

X10-4Kにはズームとレンズシフト機能がありません。
つまり本体を固定した使い方の場合、微調整は本体ごと動かす必要があります。特に筆者のような天吊設置は事前のシミュレーションが必須です。

レンズシフト:何らかの理由でスクリーンのど真正面にプロジェクターを配置できない、少しずれて設置してしまった場合に映像を歪ませる事なく、簡単に映像の位置を動かせるのです。(シアターハウス

弱点その2:レンズがど真ん中にある

X10-4Kのレンズは真ん中に配置されている

これは前出のレンズシフトにも関係しますが、一般的な据え置きプロジェクターはレンズが本体に向かって右側寄りにつけてあることが多いです。ところが、X10-4Kのレンズはど真ん中に配置されています。
この違いはそのまま本体の位置に反映されてくるわけで、天吊金具を動かせない筆者宅では上の写真のようにあからさまにズレた配置になります。

弱点その3:ミッキー型電源プラグ

ミッキー型電源プラグ

電源ケーブルは必ず自作品に換装する筆者としては、プラグはIEC一択。ところが、X10-4Kはミッキー型電源インレットで普通のIECプラグが挿せません。何ということでしょう!これは許せません(笑)(ミッキー型電源プラグの正式名称は「IEC 60320-C5」で、主にパソコンの電源ケーブルなどで使われます)

変換プラグ

ミッキー型電源プラグなんてものは売っていないので、仕方なくこのような変換プラグを噛まして使うことにしました。
IECプラグを挿すとやたらと奥行きが嵩み使いにくく、釈然としないままです😓

弱点その4:iPhone用リモコンAppが使い物にならない

vRemote

※これは本記事執筆時点のvRemote(v3.1)をインストールしたiPhone(iOS 14.7.1)とiPad(iPadOS 14.7.1)で起きた現象です。Androidは持ち合わせていないので同様の現象が発生するか不明です。
X10-4KはvRemoteというスマホ用リモコンAppが提供されています。
ところが、筆者がiPhoneとiPadで同Appをインストールし、ユーザー登録画面でメールアドレスを入力しても確認コードが待てども暮せども届かない。 もちろん迷惑メールフォルダにもなければメールアドレスを変えても届かない、日を改めてみても同じでした。
Appを使う前のユーザー登録すら出来ないのはさすがに駄目ですね。これはかなり大きな弱点というか欠点です。
もちろんAppがなくとも使用する上では何の問題ありません。

まとめ

9年落ちのビジネスプロジェクターから買い替えた結果は満足しかありませんでした。
これでライブ映像鑑賞がますます楽しくなりそうです。

ちなみに筆者はひかりTVショッピングPayPayモールで3年延長保証をつけて購入しました。
耐久性を気にする方は価格の安さだけでなく延長保証が可能なショップを選ぶのも良いでしょうね。

最後に、HDMI端子がない古いアンプに接続する方法は「Amazon Fire TV Stickを古いアンプに接続する方法」で解説しています。
AVアンプじゃないから接続できない!と嘆く前に是非。