iFi audioのスティック型USB-DAC「GO Bar」使用レビュー

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iFi audioのスティック型USB-DAC「GO Bar」を購入したので使用レビューを書いてみます。

iFi audio GO Barは据え置きオーディオ環境にも◎

まずは結論から。

iFi audio GO Barはポータブル用だけではもったいないほど優れたDACです。
筆者のように既存の据え置きオーディオ環境に加える場合でも十分使えるものでした。

iFi audio GO Barの購入動機

iFi audio GO Barの購入動機は色々な理由が重なっていました。

Volumioがいつまで経ってもAmazon Music非対応だから

GO Bar導入前

iFi audio GO Barは寝室用に購入しました。
寝室用システムは上の図のように、iPad上のAmazon MusicをAirPlay経由でRaspberry Piで運用中のVolumioへ送って再生することが多くなりました。
これではせっかくのハイレゾがAirPlayで強制的にダウンサンプリング(44.1kHz/16bit)されるし、わざわざVolumioを使う意味がほとんどない状態です。
更にいつまで経ってもVolumioがAmazon Musicに対応しないことに我慢が出来なくなっていました。
そんなわけでiPadで使えるDACを探していたところ、GO barが発売されることをPhile Webの記事で知り、未試聴で購入を決断しました。

一時は悩んだ中国系メーカー製DAC

価格.comのポータブルDAC一覧

ポータブルDACは中国系メーカーの進出が目覚ましく、まさに群雄割拠時代と言える状況です。
ぶっちゃけ、iFi audio GO Barよりもっと安く、小さく、性能の良いものもありますが、Amazon等のレビューを見るとノイズが乗るなどの問題もチラホラあり、サポートへの不満も垣間見えます。
その点、iFi audioは日本の代理店がしっかりしているから安心できるのもポイントです。

電源が必要な機材はもう置きたくない

寝室用システムを置いているキャビネット

ご覧の通り、筆者の寝室用システムを置いているキャビネットにはこれ以上の機材は載りません。
これ以上機材は置きたくない(置けない)こともiFi audio GO Barを選んだ理由の一つです。
iPhone、iPad、MacBook Pro、Garminのスマートウォッチetc、寝室はただでさえ充電が必要なものが多いため、ケーブルもゴチャゴチャしがちです。よって、電源が必要になるものを避けた結果、ポータブルDACに落ち着きました。

GO Bar導入後

iFi audio GO Bar導入後は上のようになりました。
機材の数は変わらないものの、GO Barは電源が不要のため、電源ケーブルを1本減らせました。
また、Raspberry Piよりもさらに小型なので、省スペースも実現出来ました。

iFi audioならリセールバリューも◎

下世話な話ですが、iFi audioなら中国系メーカーよりリセールバリュー(購入したものをオークション等で販売する際の再販価値)が高い点も見逃せません。

世界情勢と物価高、そしてスタグフレーション

ロシアのウクライナ侵攻により、コロナ禍で生じた半導体不足、原材料や輸送費の高騰に拍車がかかっています。
オーディオも例外ではなく、昨年から非常に多くの製品が価格改定されました。
それにしても自転車用パーツすら入手困難なのには驚きました。

直近1年のドル円相場

これに加えて円安にも全く歯止めが効かず、物価もあがりスタグフレーションが続く、ということは今後もオーディオ製品を含めた全ての物価が上がることは想像に難くありません。

つまり買える時に買っておいた方が良いだろう、ということです。

スタグフレーション:スタグフレーションとは、景気が後退していく中でインフレーション(インフレ、物価上昇)が同時進行する現象のことをいいます。この名称は、景気停滞を意味する「スタグネーション(Stagnation)」と「インフレーション(Iinflation)」を組み合わせた合成語です。通常、景気の停滞は、需要が落ち込むことからデフレ(物価下落)要因となりますが、原油価格の高騰など、原材料や素材関連の価格上昇などによって不景気の中でも物価が上昇することがあります。これが、スタグフレーションです。景気後退で賃金が上がらないにもかかわらず物価が上昇する状況は、生活者にとって極めて厳しい経済状況といえます。わが国では、1970年代のオイルショック後にこの状態となっていました。(SMBC日興証券

iFi audio GO Bar使用レビュー

前置きが長くなりましたが、ここから使用レビューです。
購入先はPayPayモールのJoshin web、購入日は2022年5月25日、手元に届いたのは発売翌日の5月28日でした。

iFi audio GO Barの仕様
入力 USB-C
対応フォーマット PCM 44.1/48/88.2/96/176.4/192/352.8/384kHz
DSD 2.8/3.1/5.6/6.1/11.3/12.3MHz
MQAフルデコード
DAC Bit-Perfect DSD & DXD DAC by Cirrus Logic
ヘッドフォン出力 4.4mmバランス出力、S-Balanced 3.5mm出力
出力パワー バランス 475mW@32Ω; 7.2V@600Ω
シングルエンド 300mW@32Ω; 3.8V@600Ω
出力インピーダンス 1Ω以下(iEMatch有効時は3.6Ω以下)
S/N比 132dBA / 108dBA (バランス/シングルエンド)
ダイナミックレンジ 109dB(A) / 108dB(A) (バランス/シングルエンド)
THD+N バランス <0.002% (6.5mW/2.0V @ 600)
シングルエンド <0.09% (100mW/1.27V @ 16)
周波数特性 20Hz - 45kHz(-3dB)
サイズ 65 x 22 x 13.2 mm
重量 28.5g
消費電力 最大4W以下

開梱の儀

iFi audio GO Barのパッケージ

小さいのは分かっていましたが、パッケージからして小さい!

iFi audio GO Barのパッケージはニス厚盛りやエンボス加工

パッケージはニス厚盛りやエンボス加工がしてあります。ちょっと高級感がありますね。

iFi audio GO Bar同梱物

同梱物は本体、ケーブル2種(USB Type C - Lightning/USB Type C - USB Type C)、変換プラグ(USB Type C - USB A)、専用ケース、取扱説明書、ワランティカード、製品保証書、ステッカー。
取扱説明書は英文しか掲載されていませんが、iFi audioのサイトから日本語版マニュアルがダウンロードできます。

外観

iFi audio GO Bar前面

ポータブルDACは初めて購入したのですが、やはりこの小ささには驚きますね。
小さいけれど、ガンメタリックの筐体は予想以上に重く、高級感あふれる作りです。

iFi audio GO Bar入力端子

入力はUSB Type-Cのみ。

iFi audio GO Bar出力端子

出力は4.4mm(バランス出力)と3.5mm(S-Balanced)の2系統。

iFi audio GO Barサイド

サイドにはiEMatchスイッチとボリューム、デジタルフィルターボタン。
反対側サイドにはQRコードとシリアルNo.が入ったシールが貼られていました。

iFi audio GO Bar背面

背面はフォーマット、サンプリングレート、音質補正LED。

コントラストが低く、印字が全然見えない

印字が全然見えない

全ての印字は濃いグレーで統一されていて高級感はあるのですが、ガンメタの上に濃いグレーの印字は全然見えません。
筆者はサンプリングレートを確認しようとしたところ凝視しないと見えませんでした。(視力は裸眼0.5、老眼ではありません)
もっとも、頻繁に見るものでもないでしょうから通常は特に不自由は感じないと思います。

地味に嬉しい専用ケース

よく考えられた専用ケース

本体とケーブル1本が入る専用ケースには仕切りが付いていて、移動中などでも傷が付きにくくなっています。外出先で使用するのが多い方は地味に嬉しいケースじゃないでしょうか。

据え置きオーディオ環境で試聴

筆者が本機を導入した寝室システムは以下の通りです。

上記の環境で、iPad(第6世代)上のAmazon Music Appを使ってハイレゾストリーミングを試聴しました。
※プリアンプへの接続はオヤイデのステレオミニ(オス)-RCA(オス)ケーブル d+MYR Class B 1.5mを使用。
※約半世紀以上前のビンテージスピーカー、JBL L26 Decadeを使用しています。周波数特性も上は20kHz程度で純粋なハイレゾ再生環境ではありませんので悪しからず。

全体的に爽やか、音場は近い印象

JBL L26 Decadeはジャズやロックを熱く聴ける銘機。
高域が印象的で気持ち良く伸びて行くのがこのスピーカーの特徴です。

ファーストインプレッションは「爽やか」

そんな中に仲間入りしたGO Barのファーストインプレッションは「爽やか」。
味気ないとか、スカスカとか、そういう悪い印象ではなく、まさに今の季節に心地よく吹く風のような爽やかさ。
物足らないと感じた時はデジタルフィルターをXBass+に設定してやることでグッと引き締まった出音に変わりました。

XBass+:失われた低音域をブーストし、原音をより正確に再現します(iFi audio

ライブ盤は特に音場が近い

そして出力が3.5mmステレオミニだからなのかも知れませんが、明らかに音場が近いです。
ライブ盤を聴くと、いつもより演者との距離が短く感じるのがよくわかります。
音場はデジタルフィルターをXSpaceに設定してやることで少し開放感のある出音になります。

XSpace:ホログラフィック音場補正により、音楽を開放的にし、ライブコンサートのような広々とした空間を提供します (iFi audio

4.4mmも試してみたいところですが、残念ながら本レビュー執筆時点ではケーブルもイヤホンも持ち合わせていないため未試聴です。

バッテリー消費は1時間あたり5%程度の消費

電源を必要としない小型筐体は取り回しやすくて良いのですが、代わりにiPadのバッテリーが消費されます。
気になるバッテリー消費量は1時間あたり5%程度でした。
※再生中はほとんどiPadを触っていない状態です。(iPad OS 15.4.1)

Apple純正カメラアダプタでも、接続する順番を間違えるとGO Barを認識しない

筆者の第6世代iPadは、Apple純正のLightning - USB3カメラアダプタでもGO Bar同梱のUSBケーブルは接続する順番を間違えるとGO Barを認識しませんでした。
確実にGO Barを認識する接続順は以下の通りです。

  1. iPadとカメラアダプタを接続する
  2. カメラアダプタにLightningケーブルを接続して電源を供給する
  3. カメラアダプタにUSBケーブルを接続してGO Barを認識させる

熱も問題なし

この小さなサイズではさぞかし熱を持つだろうと予想していたのですが、数時間使用してもほんのり温かくなる程度で、手で持つことも全く問題ありませんでした。
合金製の筐体が放熱効率を良くしているのでしょうね。

気になるのは塗装

iFi audio GO Barの筐体は合金製でメッキ仕上げではありませんが、塗装が剥げないかが気になるところです。

まとめ

まとめると、iFi audio GO Barはポータブルだけで使うのはもったいないくらいの完成度と汎用性を持つ逸品と思いました。
特に据え置きオーディオ環境でDACを置く場所に苦労している方は是非試して欲しいです。

5のつく日曜日祭を狙え!

価格.comのポータブルDAC一覧

筆者がiFi audio GO Barを購入したのは2022年5月25日。ちょうど「5のつく日」で、PayPay残高払いとJoshinのストアポイントも含めると合計20%もポイントバックされ、実質¥39601で購入できました。
直近だと2022年6月4・5日(土・日)は5のつく日と日曜が重なる「5のつく日曜日祭」のため、最大34.5%もの高倍率のポイントバックが見込めます。狙っている方は絶好のチャンスですよ!

おまけ:Amazon Musicユーザーは設定に気をつけよう

前述の通り、筆者はiPad上のAmazon Musicでハイレゾストリーミングを聴いているのですが、The Rolling Stonesの「El Mocambo 1977」を聴いていた時、突然音量が変わってしまう現象に遭遇しました。

収録曲中の2曲だけが非ATMOS

一瞬、Go Barの初期不良を疑いましたが、Amazon Musicのキューリストを見ていたら原因が分かったので記しておきます。
原因は収録曲中の2曲だけが非ATMOSだったこと。
これはデフォルト設定が「利用可能な場合は、ドルビーアトモスおよび360 Reality Audioで楽曲を再生する」にチェックが入っていたためでした、 そもそも1枚のアルバムなのになぜ2曲だけ別仕様にするのか理解に苦しみますが、設定を変更してやることで突然の音量変化を防ぐことができます。

設定は以下のようにしておきましょう。

ドロップダウンリストに現れた設定

Amazon Musicのホーム画面右上の歯車マークをタップ →
ドロップダウンリストに現れた設定をタップ

ドルビーアトモスをOFF

ドルビーアトモスをOFF、これで解決です。