本ページはアフィリエイトによる収益を得ています
JBL L26 Decadeを入手した後、今度はアンプが気になり始めました。
ROTELへの不満なき不満
特に不満も問題もなく使い続け、どんなジャンルも卒なくこなすROTEL RA-1070。
飽きもあったのでしょうが、その優等生ぶりが鼻につくというか、クセがなさすぎて面白くないというか、不満がないことが不満というか。
実際のところ、RA-1070を通すとシステム全てがROTEL色に染まってしまう傾向が強く感じられていました。(元々プリメインアンプなので当たり前っちゃ当たり前なんですが)
せっかくJBLオーナーなんだし、一度はMcIntoshを手にれたい!と、またもや病に冒されました。
McIntosh社の歴史
McIntosh Laboratory
少しMcIntosh社の歴史について触れます。
※McIntosh Laboratory Part 1 A History (1942-1967) By Roger Russellより一部抜粋引用して翻訳しています。
(写真はMcIntosh Heritageより引用。)
1946年、放送・テレビ局の設計コンサルタントだったFrank McIntoshはGordon Gowを雇い、高出力・低歪アンプの設計を開始。
翌47年、コンサルティング会社だった「McIntosh and Ingles(Engles)」から「McIntosh Scientific Laboratory」へ社名を変更、48年には現在のMcIntosh製品にも使用されているUnity Coupled Circuitを完成。
1949年、「McIntosh Engineering Laboratory」へと社名を変更し、ワシントンD.C.からメリーランド州シルバースプリングへ移転。
1951年、社名を「McIntosh Laboratory, Inc」に変更、ニューヨーク州ビンガムトンに移転し現在に至っています。
「D.C.」とは「District of Columbia(コロンビア特別区)」の略で、州には属さないアメリカ合衆国・連邦政府直轄地です。
海外企業による3度の買収
McIntosh社は過去に3度、海外企業に買収されています。
最初は1990年、日本のカーオーディオメーカー・クラリオン、2度目は2003年に同じく日本のD&Mホールディングスに、3度目は2012年にイタリアのFine Sounds SpAによって買収。
2014年、Fine Sounds Group(FSG)のCEOとMcIntosh Laboratoryの社長が、当時の会社所有者だったイタリアの投資会社からFSG経営陣による買収を主導、FSGはMcIntosh Groupへ社名変更し、ミラノからニューヨークへと移転しています。
現在のMcIntosh Groupはオーディオ機器に特化したアメリカの持株会社で、McIntosh Laboratory、Audio Research、Sonus Faber、Wadia Digital、Sumiko、Fine Sounds Asiaのブランドを所有しています。
McIntosh C26
C26、キミにきめた!
元・中古オーディオショップ店員の知人にアドバイスを乞うと
「C26〜28あたりが良いんじゃないか。」
とのこと。
ここは迷わずC26に決定。
挙げてくれたものの中では最も古く、最もMcIntoshらしいんだからC26でしょう。
このモデルは真空管から半導体への移行期だったこともあり、真空管っぽさが残る(要するに濃厚な音と解釈しています)モデルと言われています。
買う物が決まれば後はコンディションの良い個体を探すのみです。
McIntoshのソリッドステート式プリアンプとして最初に発売されたのはC24(1964〜70年頃)で、C26(1968〜78年頃)は2番目にあたります。
McIntosh C26を求めて
オークション、プロショップなどチェックし続けること数ヶ月。
何せ40〜50年前の機材なので、オークションよりは信頼のおけるショップで買いたいと思いました。
今回は名古屋・大須の某プロショップのメンテナンス済み中古品(1年保証付き)に目星をつけ試聴予約しました。
店頭に置いてあったJBL 4312Dで試聴したところ、実にトルクフルで自分好みな音。
同行した欧州系オーディオ好きな知人は微塵も興味がないようだったけど、これは間違いないと即決。
ウッドケースがないのが残念ですが、ビンテージにありがちなガリ、McIntoshならではのフロントガラスパネルの気泡、筐体のサビやキズ、いずれも許容範囲内、不良コンデンサ類も換装済みなので状態は比較的良かったです。
項目 | 詳細 |
---|---|
型式 | ステレオプリアンプ |
周波数特性 | 20Hz~20kHz +0 -0.5dB |
歪率 | 0.1%以下(20Hz~20kHz) |
入力感度・インピーダンス | Phono1・2:2mV(1kHz) AUX、Tuner、Tape1・2:0.25V/250kΩ |
ハム及びノイズ | AUX、Tuner、Tape1・2:85dB Phono1・2:74dB(10mV入力時) |
出力レベル・インピーダンス | Main出力:2.5V / 2kΩ Tape出力:0.25V / 200Ω センターチャンネル出力(L+R):2.5V / 1.2kΩ |
LFフィルター | 50Hz以下、20Hz以上(6dB / oct) |
HFフィルター | 6kHz以下、20kHz以上(6dB / oct) |
電圧増幅度(dB) | AUX、Tuner、Tape1・2:Main出力 20dB / Tape出力 0dB Phono1・2(1kHz時):Main出力 62dB / Tape出力 42dB |
Bassコントロール | +16dB~-20dB(20Hz)、11段切換 |
Trebleコントロール | +20dB~-20dB(20kHz)、11段切換 |
Volumeコントロール | 0dB~-65dB、連続可変電源 |
電源 | AC120V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 15W |
外形寸法(mm) | 本体:W375xH127xD330(パンロック含む) 前面パネル:W406xH138 |
重量 | 8.16kg(梱包時:14.97kg) |
ウッドケース、Panlocともに数種類のバリエーションがあるので、後から購入する際には適合するかどうかを必ずチェックする必要があります。
McIntosh C26を開腹してみる
自作を経験した者としては中を開けてみたくなる衝動を抑えられません。 で、開けてみました。
トップパネルを開けるとコンデンサ類がぎっしり。
ほとんどがSprague(スプラグ)社のOrange Drop(オレンジ・ドロップ)で基板を覆い隠すくらい大きいです。
Orange Dropはその名の通りオレンジ色をしているので分かりやすいですね。
コンデンサは音に大きな影響を与えると言われています。
古いMcIntoshの機材にはSprague社のBumblebee(バンブルビー)と呼ばれるコンデンサが使われていました。
Bumblebeeは「マルハナバチ」の意味で、シマシマのカラーコードが蜂の背中のように見えることから付いた名です。
Bumblebeeの生産中止後はSprague社のBlack Beauty(ブラック・ビューティー)、Cornell Dubilier Electronics(コーネル・デュブラー・エレクトロニクス / CDEと略されることもある)社のBlack Cat(ブラック・キャット)、Sprague社のOrange Dropなどが代わりに使われるようになっています。
(写真上・Bumblebee、写真下・Black Beauty)
古いコンデンサは経年により容量抜けを起こしていることが多いので、ビンテージ機材では最重要チェックポイントと言えます。(Sprague社のVitamin Qのように容量抜けを起こしにくい「ハーメチックシール」処理されたものもあります)
ボトムパネルを開けると真ん中にパーツが集中している感じです。
こちらもOrange Dropが目立ちますね。
半世紀経過しているとは思えないほどキレイな状態で感心しました。
JBL 4425 meets McIntosh C26
C26を購入して帰宅後、早速セッティング。
当時の組み合わせは以下の通り。
- スピーカー:JBL 4425
- プリアンプ:McIntosh C26
- パワーアンプ:SUNVALLEY SV-P1616D(多極管仕様)
- スピーカー:JBL L26 Decade
- プリアンプ:McIntosh C26
- パワーアンプ:SUNVALLEY SV-S1616D(300B仕様)
ROTELと比べると音質は良い意味で荒々しくパワフル。
知人の言葉を借りれば「マッチョ」の一言に尽きます。
特にジャズをJBL 4425、McIntosh C26とSUNVALLEY SV-P1616Dで、タマはEL34やKT150あたりが実にいい。
ジャンルによってSV-S1616Dに切り替えて使うのも良い感じです。
あまり期待していなかったMcIntosh C26のフォノイコライザーは中低域が骨太で、これまた自分好みでした。
やはり 「JBLにはMcIntosh」という言い伝えは間違っていなかったことを身を持って知りました。
その9へ続きます。