僕のオーディオ機材変遷(その7・JBL L26購入編)

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SV-Pre1616Dにはプリアウトが2系統、手持ちの真空管パワーアンプはSV-S1616D(300B仕様)SV-P1616D(多極管仕様)の2台。
パワーアンプ2台をセレクターで切り替えてJBL 4425を使っていましたが、どこからともなく「スピーカー2台でもいいんじゃないの?」という悪魔の囁きが。

もう1台スピーカーが欲しい!

セレクターを使ってアンプをチマチマ切り替えるのが面倒になってきたこともあり、もう1台スピーカーが欲しい!と思い立ち、即行動に移りました。

まずはどんなスピーカーにするかを悩みながらオークションを物色。
JBL 4425はそこそこ大きいので小型にしようか。。。銘機の誉れ高いRogers LS3/5aは相変わらず10万超えか。。。

Rogers Studio3を購入

Rogers Studio3
(画像はオーディオの足跡より引用)
そんな時、同じメーカーRogersのStudio3が格安で出品されていました。
友人とかぶるけど安いし面白そうだし、ということで落札しました。

出品者はストア登録で評価もかなり高い業者でした。
届いた商品の梱包も非常にキレイで好感が持てます。

いざ開梱してセッティング。
4425の横に並べると大人と子供のようでした。

友人宅のStudio3は低域が出ない印象が強かったのですが、低域ばっちりなDenon DL-102で鳴らすとかなり良い感じ。
4425とは真逆で、Studio3の高域は放っておいても出るので、この組み合わせはアリでしょうね。
小さな筐体からは想像できない美しい音色、欧州系もいいなあ。

JBL 4425との比較
モデル 周波数特性 音圧 クロスオーバー サイズ(mm) 重量
JBL 4425 40Hz~16kHz 91dB 1.2kHz W:406
H:635
D:375
26kg
Rogers Studio3 80Hz~21kHz 85dB 3kHz W:190
H:302
D:162
5kg

まさかのボイスコイルタッチ

ところが、手持ちのレコードを次から次へとかけまくっていると「ガサッ」という音が。
これはもしや…と思いつつ、別のソースで同程度の音域を出してみると「ガサッ」。

まさかのボイスコイルタッチ
ボイスコイルタッチとは、スピーカーのマグネットとボイスコイルが何らかの理由でこすれてノイズが出ている状態。
このまま放置すると最悪の場合、ボイスコイルの焼損や断線の原因になります。
スピーカーの仕組み
(画像はDenon公式ブログから引用)

その昔、4425のエッジ張替えを東京のイケイケなプロショップ「●●リックサウンド」に頼んだ時、ボイスコイルタッチ状態で帰ってきました。
まさにあの時と同じ。

出品業者に連絡を取ると修理はできないとのこと。
商品そのままで一部返金を提案されましたが、不良品は要らないしボイスコイルタッチを治せる技量もないので返品・返金を求めました。

あえなく返品

というわけで小さくも美しい音色を奏でてくれるはずだったRogers Studio3は一週間も経たず返品。
実に残念でしたが、試聴機を借りたと思うことにして、懲りずに他の機種を探すことにしました。

JBL L26 Decadeを購入

欧州系は縁がないと諦めて、JBLのモニターシリーズ以外に的を絞ります。
JBL往年のベストセラー、Lシリーズでサイズも値段もお手頃なL26かL36が良さげ。
L36は鳴らしにくそうな3wayなので、2wayのL26 Decadeに決定です。

ちなみにL26は1976年に発売、「Decade」は「10年」を意味します。
何かの10周年かと調べまくりましたが、関連性は見つからず、ネーミングにおいて特に意味もないようです。
ついでにJBLは1946年、創立者James Bullough Lansingの名をとり、「James B. Lansing Sound Inc.,」としてロサンゼルス市に設立されたのが始まり。よって、会社創立周年と「Decade」が意味する「10年」とは関係ないです。 ※20年は「two decades」や「a score of years」。

スピーカーはスピーカーユニットの構成で以下のように呼び名が変わります。
フルレンジスピーカー:ユニットが1つだけで構成されたもの。
2way(ツーウェイ)スピーカー:高域(ツイーター)、低域(ウーハー)の2つのスピーカーユニットで構成されたもの。
3way(スリーウェイ)スピーカー:高域、中域(スコーカー)、低域の3つのユニットで構成されたもの。

JBL L26 Decadeは前期型と後期型がある

L26 Decadeは前期型と後期型があり、どちらもウーハーはアルニコマグネットで違いはツイーターのみ。
前期型はツイーターの色がオレンジ(LE25-1)、後期型はブラック(LE25-4)です。
前期型でもツイーターがリコーンされてブラックに変わっている個体もあるようなので、オレンジ色のツイーターは希少と言えそうです。

運良く前期型オレンジ色ツイーターでウーハーエッジとコンデンサー交換済の個体をオークションで発見。
若干エンクロージャーに汚れ、ツイーター周辺のスポンジに劣化がありましたが音には関係ないので、すかさず落札してしまいました。

アルニコとは、アルミニウム、ニッケル、コバルトなどを原料として鋳造された磁石のこと。1960年代にコンゴ動乱の影響でコバルトが暴騰。その後は安価かつ造形も容易なフェライト磁石に取って代わられた。
1980年代半ば以降のAVブームとともに、価格が高くともあえてアルニコ磁石を採用するスピーカーの例が増えた。AV用としてのほか、音質の良さも宣伝されたが、アルニコ磁石のスピーカーがフェライト磁石のそれよりも音質的に優れるとする科学的根拠は無い。Wikipediaより)

梱包が雑すぎだったが商品は無事

今回の出品者は個人。
バカでかいダンボールに緩衝材のつもりであろう丸めた新聞紙が控えめに入っていました。
1本19kgもあるスピーカーに対して新聞紙なぞ意味があろうはずもなく、ダンボールの中でスピーカーが泳いでいるような状態でした。 とにかく梱包が雑すぎでしたが、幸い商品は無事だったのが救いです。

JBL L26 Decadeのエンクロージャーをリペア

JBL L26
まずは落札前から確認していたエンクロージャーのリペアです。
汚れ、小キズ、輪染みがありましたが、いずれも軽微なレベル。
それよりは表面のガサつきが気になりました。

ガサつきの対処のため、以下の手順でリペアしました。

  1. 水で濡らし固く絞った雑巾でエンクロージャーの汚れをとる。
  2. 家具用の蜜蝋ワックスを塗り込んで小一時間放置。
  3. 余分なワックスをウェスで取り除いて終了。

これで表面は自然な潤いとツヤが出て、小キズ程度はほぼ目立たなくなります。
ひどいガサつきやシミの場合はサンドペーパーで軽くヤスってからワックスでもOKかと思います。
JBL L26 JBLのエンクロージャーのリペアはワトコオイルを使う方も多いようですが、今回は表面がややガサついていただけだったので、蜜蝋ワックスのみの簡単フィニッシュです。

JBL L26 Decadeのツイーター周辺スポンジをリペア

JBL L26
続いてツイーター周辺のスポンジ。
素人がスポンジを円形にくり抜くことは難しいので、サクッとオークションで購入します。

この手のパーツは数百円からやたら高いものまで様々ですが、安価なものをストア出品していた東北地方の某ショップで購入しました。
購入時に古いスポンジの取り除き方を質問したところ、わざわざ電話をいただきました。
曰く

  • ツイーター周辺の古いスポンジ除去には絶対に溶剤は使わないこと。溶剤を使うとツイーターから出ている細いリード線までも溶かしてしまうので絶対NG。
  • ネットには溶剤を使って取り除くなんて方法を載せてる人もいるけど、それで断線して泣く泣く修理に持ち込む人が多い。
  • 地道に手でスポンジをむしり取り、その上に木工用ボンドを塗って新しいスポンジを貼り付けるのが正解。
  • スポンジを数千円で売ってる人もいるが、同じスポンジなので安いので十分。

と、懇切丁寧に教えてくれました。

アドバイス通りに古いスポンジを地道にむしり取り、掃除機で吸いつつ、あらかたキレイになったら木工用ボンドでスポンジを接着。
完成したのがこちら。
JBL L26
スポンジの色がオリジナルとは異なりますが、音には関係ないのでこれで十分です。

JBL L26 Decadeのビスをリペア

JBL L26 Decadeのビス
(画像は我楽音 響のCUT&TRYより引用)

ユニットを固定するビスのサビも気になっていたので、こいつもやっつけます。

  1. ビスは全て取り外す。
  2. サビ取り剤に浸しサビを除去。
  3. 同時にビスの塗装も落ちるのでラッカースプレーで再塗装。
    上の画像のようにビスをダンボールに突き刺して上部を塗装・乾燥、突き刺したビスをグッと押し込みダンボールをひっくり返して下部を塗装・乾燥と2回に分けるとやりやすいです。
  4. スプレー後、しっかり乾燥させたら完成。

JBL L26

JBL L26 Decadeは高域・低域ともによく伸びる音質

こうして見た目もリペアされたJBL L26 Decade、肝心の音質はハイファイ堂メールマガジン第677号が非常に本質をついたレビューだと思いましたので一部引用します。

このモデルの最大の魅力は、何と言ってもその音です。
「これ以上何が必要なんですか」と言いたくなるくらい、十分すぎるほどの量感のある低域と、最高域までよく伸びきった高域。低域のグラマラスなキャラクターは4311Bとは真逆の個性で、とても興味深い音です。
特に3.6cmツイーターのLE25-1の高域が軽く弾かれたように出てくる感じなど、近年の金属製ドーム型ユニットよりも優れていると感じた次第です。

特筆すべきはやはり高域です。
たった3.6cmの乳首のようなツイーターからは実に元気の良いハツラツとした高音が縦横無尽にほとばしります。
カキーン、パリーンetc…4425で苦労した高域がL26は何もしなくても全然OK。
こいつでアート・ブレイキーを聞いたときは思わずのけぞりました。テクノ、EDMまでイケますね。

ちなみにアルニコ仕様のスピーカーは初めてでしたが、フェライトとの違いはよく分かりません。
ビスのリペア時にウーハーユニットを外した際には軽すぎて驚いたくらいです 😅

最後にJBL 4425とRogers Studio3、JBL L26 Decadeのスペック比較表を載せておきます。
L26の周波数特性は公表されていませんが、高域は20kHz以上あると見て間違いないでしょう。

JBL 4425との比較
モデル 周波数特性 音圧 クロスオーバー サイズ(mm) 重量
JBL 4425 40Hz~16kHz 91dB 1.2kHz W:406
H:635
D:375
26kg
JBL L26 不明 89dB 2kHz W:324
H:610
D:337
19kg
Rogers Studio3 80Hz~21kHz 85dB 3kHz W:190
H:302
D:162
5kg

その8へ続きます。