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少し落ち着くとまた別のアラが見えてきます、よね(?)。
JBL 4425の高域を何とかしたい
愛機JBL 4425の周波数特性は40Hz〜16kHzで高音再生が苦手。
さらにカートリッジ、Denon DL-102の周波数特性も50Hz〜10kHzと、これまた高音再生が苦手。
当然、出てくる音も高域不足が否めません。
「もう少し高域再生出来るといいなあ」
などと考えたのが運の尽き。
お次はJBL 4425の高域再生がお題と相成りました。
周波数特性とは周波数と何らかの物理量との関係を表したもので、スピーカーの再生周波数帯域を示す数値です。
周波数の英語「Frequency」と特性の「特」をあわせて「f特」と呼ばれることもあります。
人間の可聴周波数特性は20Hz〜20kHzと言われ、20代を過ぎると聴力が低下し、特に高域が聴こえにくくなると言われています。
国立研究開発法人科学技術振興機構の資料「聴覚の年齢的な変化」のグラフを見ると一目瞭然です。
高域再生に優れたMCカートリッジ、Denon DL-110
人間の可聴周波数特性が20kHz程度までなのに対して、DL-102の上限はその半分の10kHzですから、この環境で高域再生の最も簡単な方法としてはカートリッジの変更です。
カートリッジはド定番のDenon DL-103が真っ先に候補に上がりましたが、友人も所有しているし違うもので冒険するのもいいなあ。
という事で、やたらと評判の良かったDenon DL-110にしました。
MCなのにMM並の出力、周波数特性も20Hz〜45kHzで申し分なしです。
モデル | 出力電圧 | 再生周波数 | 針圧 | 自重 |
---|---|---|---|---|
DL-102 | 3mV | 50Hz~10kHz | 3±1g | 13g |
DL-103 | 0.3mV | 20Hz~45kHz | 2.5±0.3g | 8.5g |
DL-110 | 1.6mV | 20Hz~45kHz | 1.8±0.3g | 4.8g |
ただ、DL-102はモノラル特有の直線的でガッツある音が好きだし、ジャズはこいつがいい。
しかし、いちいちカートリッジやヘッドシェルを変えるのは現実的じゃない。
となるとダブルアーム化か。。。恐ろしやオーディオ沼。。。
SME 3009には多くのバージョンがあった
ローマス(軽量級)なDL-110にはやはり軽量なショートアームです。(ローマス・ハイコンプライアンスとハイマス・ローコンプライアンスはその5で解説しています)
Thorens TD520にはロングアームSME 3012-Rが付いているので、ショートアームも同じメーカーのSME 3009にすることにしました。
3009はオークションでも頻繁に見かけるので入手は比較的簡単でした。
僕が入手したトーンアームは3009 S2 Improvedというタイプ。
「S2」てことはS1とかバージョン違いもあるのかと、改めて調べてみるとやはり複数のバージョンがあり、それぞれ対応カートリッジ重量が異なることがわかりました。
analogue-classics.comに詳しい資料が掲載されていたので、テキスト起し・和訳して表にまとめました。(Average Effective Massの適当な和訳が分からず直訳で「平均有効質量」としています)
バランスウエイトは標準以外にもパーツとして別売されていて、「1901」などはその品番、「LWR」、「MWR」、「HWR」はライトウエイト(軽量)、ミディアムウエイト(中量)、ヘビーウエイト(重量)の意味ですね。
モデル | バランスウエイト | 対応カートリッジ重量 | 平均有効質量 | ||
---|---|---|---|---|---|
3009 Series II | 標準 | 2-20 | 12.5 | ||
3012 Series II | 標準 | 4-18 | 14.0 | ||
3009 Series II Improved |
3009 Series II Improved |
標準(1901) | 3-7 | 6.5 | 6.5 |
3009 Series II Improved |
1901/LWR | 0-3 | 6.5 | ||
3009 Series II Improved |
1902 | 6-11 | 6.5 | ||
3009 Series II Improved |
1902/MWR | 9-15 | 6.5 | ||
3009 Series II Improved |
1902/HWR | 16-24 | 6.5 | ||
3009 S2 Improved |
3009 S2 Improved |
標準(1902) | 3-8 | 9.5 | 9.5 |
3009 S2 Improved |
1901 | 0-4 | 9.5 | ||
3009 S2 Improved |
1902/MWR | 6-13 | 9.5 | ||
3009 S2 Improved |
1902/HWR | 13-21 | 9.5 | ||
Series III | Series III | 標準 | 0-13 | 5.0 | 5.0 |
Series III | 標準+3821 | 5.5-20.8 | 5.0 | ||
Series IIIS | Series IIIS | 標準 | 0-12.5 | 5.0 | 5.0 |
Series IIIS | 3200+3821 | 5.5-20.8 | 5.0 | ||
3009-R | 標準 | 1-27 | 12.7 | ||
3010-R | 標準 | 0-25 | 12.8 | ||
3012-R | 標準 | 0-25 | 14.0 |
表記以外にも3009 Series Iなどがあるようです。
3009の種類が多くて混乱しますね。。。
analogue-classics.comによると、3009 Impと3009 S2 Impの違いはヘッドシェルで、前者がFixed(固定)、後者がDetachable(取り外し可能)であること、3009 Series IIと3009 S2 Impの違いはメインウエイトで、前者は分割、後者は非分割型だそうです。
またvinylengine.comによると、Series I、Series II、S2 Impのヘッドシェルは取り外し可能、Series II Impは固定だそうです。
ややこしいので表にまとめておきます。(Series III以降は省略)
モデル | バランスウエイト | ヘッドシェル |
---|---|---|
3009 Series I |
分割型 | 取り外し可能 |
3009 Improved |
非分割型 | 固定 |
3009 Series II |
分割型 | 取り外し可能 |
3009 Series II Improved |
非分割型 | 固定 |
3009 S2 Improved |
非分割型 | 取り外し可能 |
3009-R | 分割型 | 取り外し可能 |
これらは数字の末尾2桁がトーンアームの長さを示しています。
つまり、3009は9インチ、3010は10インチ、3012は12インチとなります。
Improvedとは「改良型」の意味でImpと略されることもあります。
Series II以降のマニュアルはSMEがオフィシャルでPDFファイル(英語)を公開しています。
とにかくSMEのトーンアーム全部知りたい欲しがりさんはvinylengine.comを見ると幸せになれますよ。
超軽量ヘッドシェル、Denon PCL-5
手持ちのヘッドシェルは重いものばかり。
これではせっかくのローマス(軽量級)システムには似合わないのです。
仕方がないので超軽量ヘッドシェルを探して辿り着いたのがDenon PCL-5。
10gを切るヘッドシェルが皆無な中で、こいつは6gでかなり軽いです。
(SMEのヘッドシェルは高騰気味でおいそれと手出しできず)
ただし中古でしかないので、これまたオークションで落札。
ヘッドシェル、カートリッジ、ビス、ナット、カートリッジリード線、全て含めて12g。
カートリッジの共振は12Hzで少しオーバーしていますが、シビアに考え出すとキリがないので良しとします。
これでようやく完成です。
この計算はvinylengine.comのCartridge Resonance Evaluatorを使うと便利です。
利用の際はトーンアームの有効質量(Tonearm Effective Mass)、カートリッジのコンプライアンス(Dynamic Compliance)とカートリッジやヘッドシェルを含む重量(Cartridge and Mounting Hardware Total Mass)を計測しておく必要があります。
今回の僕の場合、トーンアームの有効質量は9.5g、カートリッジ(DL-110)のコンプライアンスは8×10-6cm/dyne、カートリッジやヘッドシェルを含む重量は12gなので、カートリッジ共振周波数は12Hzでした。
JBL 4425 + SME 3009 S2 Imp + Denon DL-110 = 高域バッチリ!
カートリッジ、トーンアーム、ヘッドシェルの購入、これ以外にもトーンアームを固定するベースをDIYで自作していますが省略します😉
いざ完成したSME 3009 S2 ImpとDenon DL-110でJBL 4425を鳴らしてみると…
おおおおぅ、やっぱり高域出ますねえ〜。
きらびやかな高域ではありますが、脚色されたものではなく自然な仕上がりです。
これで当初の目標だった「JBL 4425の高域を何とかしたい」は達成されました!
しかし随分コストと時間がかかってしまいました😭
その7へ続きます。