FX-AUDIOのアッテネーター「AT-02J」レビュー

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低価格で高品質と評判のNorth Flat Japanのプライベートブランド、FX-AUDIOから発売されたアッテネーター「AT-02J」を2021年1月初旬に購入したのでレビューしてみます。

アッテネーターとは

そもそもアッテネーターとはどういうものでしょうか?
Wikipediaには次のように書かれています。

減衰器もしくはアッテネータとは、信号を適切な信号レベルに減衰させる回路素子および装置をいう。減衰量の単位にはデシベル を用いることが多い。Attenuator の頭文字三文字を取ってATTと略表記される事がある。PADと言われることもある。

要するに「ボリュームを小さくするもの」と捉えておけば間違いないでしょう。

なぜアッテネーターが必要なのか

「どっかんボリューム」対策のため

筆者が使用しているMcIntosh C26のボリュームは少し上げるだけで爆音、下げると音がほとんど聞こえない、毎回絶妙な位置を探す必要があるという困ったものでした。具体的には通常のボリューム位置は10時程度でしたが、CDは音量が大きすぎて9時30〜20分あたりがベター、それより下げると聞こえません。

これはいわゆる「どっかんボリューム」と呼ばれるもので、SUNVALLEY AUDIO店主・大橋慎氏の著書「真空管・オーディオ活用の奥義」(P.75)には次のように書かれています。

「どっかんボリューム」は、アンプがセパレートシステム(プリアンプとパワーアンプが別々)の場合に問題となることがある現象です。特に高能率スピーカーをお使いの方で多く見受けられますが、要はプリアンプのボリュームをちょっと上げるだけでスピーカーから「どっかん」とでかい音が出てしまうということです。

筆者がアッテネーターを欲する理由は、この「どっかんボリューム」対策のために他なりません。

パワーアンプ側のボリュームを下げればいいじゃん?

「パワーアンプ側のボリュームを下げればいいじゃん?」と思ったそこのアナタ、その通りなんですが、筆者のパワーアンプ(McIntosh MC30)はC26同様のビンテージ機材で、ボリューム最大位置以外は少しノイズが載ってしまうのです。

また、前出の「真空管・オーディオ活用の奥義」にも書かれていますが、基本的にパワーアンプ側のボリュームは最大が望ましいため、これを下げることはしたくないわけです。

とは言え、接点は少ないほうがいい

とは言え、アッテネーターを導入しなければ音が出ないわけでもないので、わざわざ接点を増やして音を劣化させるのは得策とは言い難いです。

筆者は導入して得られるメリットと、接点を増やして音質劣化を招くデメリットを天秤にかけ前者が勝ったので試してみた次第です。(もっともAT-02Jの価格が非常に魅力的だったのも導入した大きな理由です)

FX-AUDIO AT-02Jレビュー

小ささに驚く

AT-02Jは小さい

FX-AUDIO AT-02Jが届いた時、そのあまりの小ささに驚きました。

AT-02Jの重さは62g

大きさは手のひらの1/3程度しかなく、重さはたったの62g。
いかにコストを削減した商品と言えども、「重い、デカい、高い」が正義なオーディオオタクにはあまりにも心許ないものでした。

値段に驚く

このAT-02Jの価格はたったの¥3,000。(NFJストア ヤフーショッピング店での価格。送料別)
ここまでコストが削減出来た理由は「ゲイン切り替えを3段階のみに絞ったため」と商品説明にもあります。

シンプルさに驚く

AT-02Jの筐体デザインは非常にシンプル

AT-02Jの筐体はINPUT、OUTPUT併せて4端子の入出力のみ。

ゲイン調整は裏面のディップスイッチで行う

ゲイン調整は裏面のディップスイッチで行うため、ボタン類は皆無です。
筐体デザインも超絶シンプルにすることによってコスト削減を実現したのかも知れません。

音は太くなる(ケーブルにもよる)

McIntosh C26の出力とMC30の入力の間にAT-02Jを設置して、いざ試聴。
音質は何も変わらないだろうと予想していたところ、少し太くなった印象で、他者のレビューにもいくつか見られるように低域が少し強調されます。切れの良い出音を目指している方には耳障りになるかも知れませんが、筆者宅では好結果となりました。
これはAT-02Jに繋ぐラインケーブルの種類によっても変わりそうです。(今回はケーブルの試聴ではないし長くなるので省きます)

当初は結果に戸惑うも、導入して良かった

正直、当初はこの結果には戸惑いました。
機材を挟む以上、音が変わるのは当然といえば当然ですが、それが喜ばしいわけでもなく、かと言って悪くなったわけでもない、うーん🤔という具合に。
このモヤモヤは導入から約1.5ヶ月経った現在、C26のボリュームを上げるメリットを実感出来たことにより解消されました。
そのメリットは音の実体感がより感じられたこと。筆者にとってこれは非常に大きなポイントでした。

McIntosh C26のボリューム位置は10時から11時へ上げることが出来た

ちなみにAT-02J導入前のリスニング時ボリューム位置は10時でしたが、導入後(ディップスイッチは-20dB)は11時まで上げることが出来ました。

dB(デシベル)とは:「dB」は電話を発明したアレキサンダー・グラハム・ベルにちなんだ「B(ベル)」という単位(電話線で送受信する電力を扱う際に使われたのが始まり)に、「十分の一」という意味の「d(デシ)」をくっつけた表記方法です。(Digiland

万人に必要な商品ではない

AT-02Jはボリューム周りに悩みがある方以外には不要です。
音質も変わってしまうため、むしろ使わないで済むなら使わないほうが良いでしょう。接点も機材も少ない方がトラブルも少なく済み、トラブル時の原因究明も簡単ですし。

FX-AUDIO AT-02Jを分解してみた

レビュー記事だけでは面白くないのでバラしてみることにしました。
バラす際にディップスイッチが1本折れたので、良い子は真似しないでね😚

FX-AUDIO AT-02Jのバラし方

AT-02Jをバラすにはビス6本を外す

バラすにはビスを6本外し、裏面のディップスイッチ部分を軽く押さえながら引き抜きます。
※引き抜く際にディップスイッチと筐体内側が必ず擦れるので、筐体内側に擦り傷が付き、筆者のようにスイッチが折れる可能性が非常に高いです。(多分、これ以外のバラし方はないと思いますが知ってる方がいたら是非教えてほしいです)

AT-02Jの基板を引き抜いたところ

引き抜くと金属皮膜抵抗が数本と2組のRCAジャックがささった基板が現れます。
金属皮膜抵抗を換装して遊ぶことも出来そうです。

AT-02Jは可変抵抗器を省くことでコスト削減を実現

高級なアッテネーターは可変抵抗器を使っていることがほとんどですが、ここを省略してディップスイッチにすることで大幅なコスト削減を実現しているわけですね。

金属皮膜抵抗は8本使われている

使用されている金属皮膜抵抗はR1〜R4が57kΩ、R5とR7が39kΩ、R6とR8が6.2kΩ、誤差は全て±0.1%でした。
※「R」はResistor(抵抗)の意味、後ろの数字は番号。つまりR1は「1番目の抵抗」の意味。
カラーコードから抵抗値を計算する時には「抵抗値 色 計算」で検索すると色を選ぶだけで抵抗値を表示してくれる高度計算サイトや便利なサイトがヒットしますよ。

まとめ

FX-AUDIO AT-02Jはコンパクト、シンプル、コスパにも優れ、なかなか面白い商品でした。
特にビンテージ機材のどっかんボリュームにお悩みの方は購入の検討価値アリでしょう。改造前提で購入してみるのもいいかも知れませんね。