Technics SL-1200 MK5を自分で修理したよ

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趣味のDJプレイの最中、何の前触れもなくターンテーブル(Technics SL-1200 MK5)の電源が突然落ちてしまいました。
状況からヒューズ断線の可能性が高いと思われたので、自分で直すことにしました。
今回はその修理について書いてみます。
※SL-1200はバージョンにより仕様が異なり、ヒューズが使われていないものもあります。各バージョンの仕様は島村楽器に詳しく書かれています。

ご注意

今回の修理はメーカーにも問い合わせましたが、以下の返信がありました。

お客様の安全や財産の保護、商品の二次的な損傷の可能性防止などの観点より、お客様ご自身での修理や部品交換はお控えいただくようお願いしております。

そりゃそうですよね。メーカーとしては120点の回答と妙に感心してしまいました😆
ご自身で修理する場合は、この点を十分理解した上、自己責任で行ってください。
また、万一、本記事の方法で機器の損傷や事故があった場合も筆者は一切の責任を負いません。

Technics SL-1200 MK5の電源がいきなり落ちた

Technics SL-1200 MK5の電源がいきなり落ちた

まさにプレイ中にいきなり落ちたので少し焦りましたが、電源をオン、オフにしてもランプが点灯せず全く反応がないので、これはヒューズかな?と思いつつ、Googleで先人たちの記録をたどりました。

「Technics SL-1200 MK5 電源が入らない」でググってみた

Technics SL-1200シリーズはバカ売れした名機だけあって、トラブルに対するノウハウもネットにたくさん転がっています。

修理方法はこちらの方が書いている通りですが、今回得た知見も含めて、もう少し詳しく書いてみます。

そもそもヒューズとは

ヒューズは真空管アンプにも使う場合がありますが、真剣にその役割を考えたことがない気がします😅
詳しい解説は長くなりすぎるので、ここでは簡単に触れておきます。

ヒューズについてはEDN Japanに詳しく書かれています。

ヒューズは、回路の異常状態(短絡や過負荷など)による過電流によって機器が危険な状態になることを防止する目的で使用されます。

そしてヒューズを一言で表すなら

いわば安全を担保する最後の砦(とりで)

です。

今回はその砦が崩れてしまったと言えます。

修理方法

必要なもの

修理に必要なものは以下の3つです。
※故障の原因がヒューズ切れだった場合です。

  • ヒューズ(5×20mm / 125V 250mA)
  • プラスドライバー
  • マイナスドライバー

1.電源とケーブルを抜く

電源とケーブルを抜く

何はともあれ電源ケーブルをコンセントから抜き、ミキサー類に繋がっているケーブルも全て抜きます。
アースケーブルも忘れずに外しましょう。

電源を切った後すぐに内部基盤等に触れるのは感電の危険がありますので絶対にやめましょう。作業は電源を切ってから10分程度放置した後にしましょう。(コンデンサー類に溜まった電気が自然放電して、触れても感電しなくなるから)

2.スリップシートとカートリッジを外す

スリップシートとカートリッジを外す

スリップシート、ターンテーブルシートを外すとプラッターが露わになります。

カートリッジを外し、トーンアームをアームクランパーに固定する

修理中の破損を防ぐためにもカートリッジは必ず外しましょう。
カートリッジを外した後はトーンアームをアームクランパーで固定しておきます。

3.プラッターを外す

プラッターを外す

プラッターに開いた2つの穴に指を入れて持ち上げます。

Technics SL-1200のプラッタを簡単に外す方法

(画像はPower DJ’s Blogより引用)
硬くて外せない場合はPower DJ’s BlogのTechnics SL-1200のプラッタを簡単に外す方法!が参考になります。

4.ビスを5本外す

ビスを5本外す

プラッターを外すと現れる黒いカバーの外周を囲むように配置された5本のビスをプラスドライバーで外します。

5.カバーを外す

カバーを外す

これで黒いカバーを外すことが出来ます。
外しにくい時はマイナスドライバーをキャビネットとカバーの隙間に入れてゆっくり持ち上げましょう。(力は要りません)

6.ヒューズを外す

ヒューズを外す

スピンドル近くにある基板上の金属の爪で固定されたガラス管ヒューズを外します。(上の写真はヒューズを外した後)

切れたヒューズ

やっぱりヒューズが切れてますね。。。これを交換するだけで直るはずです。

ただ、Technics SL-1200 MK5は古い機種のため肝心の純正ヒューズがもう流通していません。(昔はサウンドハウスでも純正を買えたのですが、現在は販売終了しています)

7.ヒューズを探す

必要なのは5×20mm、125V 250mA(0.25A)のガラス管ヒューズですが、全く同じ仕様のものは見当たらず、定格電圧250Vのものがありました。
こういう場合は真空管アンプのカップリングコンデンサ換装と同様に、必要な定格電圧を下回っていないものならOKでは?と見当をつけます。
念の為、改めて検索してみるとエーモンにその答えが載っていました。

管ヒューズには125Vや250Vなどの刻印があり、その電圧まで使えるという上限の表記です。
車の電装品は、それ以下の12Vや24Vですので問題ありません。<中略>
切れた管ヒューズと同じA(アンペア)数で入れ替えて下さい。

これでアンペア数が合っていれば125V以上のヒューズでも使えるということがわかりました。

ELPAのヒューズ(KTF-0225)

というわけで、250V 250mA(0.25A)のヒューズを大きめのホームセンター2軒で探しましたが、0.2Aと0.3Aはあっても0.25Aがない。。。修理当時のアマゾンにも在庫なし(現在はあります)。ヨドバシにあったELPA(朝日電器社)のものを購入しました。3本入でお値段はたったの¥210です😃

ヒューズの溶断特性

(画像はEDN Japanから引用)

ヒューズには溶断特性というものがあり、大きく分けて速断とタイムラグ型の2つがあります。
今回購入したヒューズは「主にテスター用」と書かれた速断型です。(速断型とは書かれていませんが、タイムラグ型ではヒューズだけでなくテスター本体が壊れるので)
元々付いていたヒューズの形状も速断型でしたので、これで問題ないです。

定格電圧:定格電圧とは定格周囲温度または端子温度において連続して印加できる直流電圧又は交流電圧の最大値です。(ローム株式会社

8.ヒューズを交換する

切れたヒューズと新品のヒューズ

切れたヒューズを換装します。
右が切れたもの、左が新品です。

ヒューズを換装

とりあえずカバーを着けずに電源が入るかを確認します。

電源が入った!

入りました!異音、異臭、発煙、ショートもありません。
後は上記手順5を逆にたどれば修理完了です!
※この際も作業は電源を切ってから10分程度放置した後にしましょう。

まとめ

SL-1200 MK5は2005年10月に購入

SL-1200 MK5はサウンドハウスで2005年10月に購入したものでした。
あれから15年、一度も不具合なく動いてくれていたわけですね。
SL-1200が頑丈で壊れにくいというのは本当だったんだな、と実感しました。

また、今回の件でヒューズの役割や速断、タイムラグ型などの溶断特性、直流と交流で使う場合の違いも学べて勉強になりました✌️
ヒューズの寿命は使われる箇所や電流負荷の大小により大きく異なるので、一概には言えませんが概ね数年程度のようです。よって今回はヒューズの寿命だった可能性が高いと思われます。つまり、もう一台のSL-1200もいつヒューズが切れてもおかしくないと言えます。

とにかくヒューズ交換のみで直ったのは不幸中の幸いでした。(修理後、2週間ほど使用していますが不具合もありません)

おまけ:オーディオ用ヒューズ

恐ろしいものでヒューズもオーディオ用が販売されています。
筆者はヒューズにコストを掛けたくないのでごく普通のものを使いましたが、デジマートがヒューズの比較試聴を記事にしてくれています。
興味のある方は読んでみると良いかもしれません。