SONYのヘッドホンMDR-CD900STを自分で修理してみた

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筆者は15年前から趣味でDJをしています。
当時買ったモニター用ヘッドホン「SONY MDR-CD900ST」はさすがに経年劣化でボロボロになってしまいました。
今回はその修理について書いてみます。

不動のモニター用ヘッドホン「SONY MDR-CD900ST」

SONY MDR-CD900STオフィシャルサイト

SONY MDR-CD900STは1989年に発売開始され、今も販売されているロングセラー商品です。
ソニーとソニー・ミュージックスタジオが共同開発し、自社スタジオで使用するのが目的だったためミュージシャンやエンジニアを中心に使われていましたが、現在はDTM(Desk Top Music)やDAW(Digital Audio Workstation)ユーザーをはじめ、DJや一般の方にも広がっています。
実売価格は約1.5万円で、初めて本格的なヘッドホンを買うユーザーにも現実的な値段です。

SONY MDR-CD900STは30年以上前の製品ですから現行他社製品と比べると周波数特性などのスペックは完全に劣っています。にも関わらず、価格.comではオーバヘッドヘッドホン部門で8位(本記事執筆時点)。今でも愛用者が絶えない稀有な存在です。
軽く(約200g)て、着け外しも楽、無駄な機能やデザインもなく飽きがこない、そして「無骨」を絵に書いたような製品ですが、実際に筆者は15年使用してみて、他のヘッドホンにしたいと思うことは一度もありませんでした。

SONY MDR-CD900STは修理用パーツが単体販売されている

サウンドハウスはSONY MDR-CD900ST補修パーツも豊富

家電製品が故障したらメーカーや販売店に持ち込むのが普通ですよね?
SONY MDR-CD900STは元々業務用製品ということもあり修理用パーツが単体で販売されています。
故障やパーツの経年劣化も自分で直せてしまうのが本機のいいところなんです。
流行りのヘッドホンを買って、いつの間にか製造中止になってしまい故障の際に「パーツがない!」なんて悲劇とは無縁なのです。

SONY MDR-CD900STの修理

今回はヘッドバンド、ミクロングラス、ウレタンリング、イヤーパッドを換装しました。
複数のパーツを換装する場合は順番をよく考えてから作業するようにしましょう。
ヘッドバンドの換装はハンダ付けが必要です。

ヘッドバンドの換装

経年劣化したヘッドバンド

ヘッドバンドは経年劣化でボロボロになっていました。

ハンガー蓋のビスを外す

まずはイヤーハンガーとヘッドバンドを固定しているビスを外します。

イヤーハンガーのケーブルを外す

次にイヤーハンガーに沿って取り付けられているケーブルを慎重に外します。

ハウジングを固定しているビスを外す

イヤーパッドを外した後、ハウジングを固定している4本のビスを外します。

換装はハンダ付けが必要

ヘッドバンドはドライバーユニットと配線が繋がっているため換装には線材をハンダづけする必要があります。
溶けやすくつけやすいハンダでしたのでハンダ初心者でも簡単だと思います。

ハンダごては多少高くても白光FX600のような温度制御可能なタイプを断然おすすめします。
過去の記事にも書いたように、筆者は激安ハンダごてを購入して後悔し、白光FX600を買い直しました。

上下左右は間違えないように

上下左右は間違えないように気をつけましょう。
作業の前に写真を撮影しておくといいですよ。

ミクロングラスの換装

ミクロングラスの換装

目視では劣化しているかは分かりませんでしたが、ハウジング内部にあるミクロングラスも換装しました。
こちらはサウンドハウスが換装方法を動画で公開してくれています。

ウレタンリングの換装

経年劣化したウレタンリング

同じくハウジングの中に入っているドライバーユニットに貼られた黒い円形の物体がウレタンリングです。
経年劣化により加水分解しています。(JBLユーザーにはお馴染みですね)

両面テープを剥がせば簡単

加水分解したウレタンはベタついているので非常に厄介ですが、このパーツは両面テープで貼られているのでテープを剥がせばキレイに取り外しできます。

こちらもサウンドハウスが換装方法を動画で公開してくれています。

経年劣化:加水分解(かすいぶんかい、英: Hydrolysis)とは、反応物に水が反応し、分解生成物が得られる反応のことである。水解とも呼ばれる。(Wikipedia

イヤーパッドの換装

経年劣化したイヤーパッド

イヤーパッドは最も劣化しやすいパーツです。15年間で2度目の換装です。
これもウレタンが使われているため加水分解でボロボロと破片が落ちてくるのです。

外したイヤーパッド

イヤーパッドは手で掴んでハウジングから剥がすような感じで取り外します。 ハウジング中心部分にドライバーユニットが入っているので、傷つけないよう注意しましょう。

取付は逆の手順で

換装は逆の手順でハウジングに一部を引っ掛けて広げながらはめ込んでいきます。

イヤーパッドの換装終了

換装終了です!
YAXIのイヤーパッドは純正と比べて高価ですが、高密度素材の低反発ウレタンでフワッフワの装着感。摩擦に強いプロテインレザーを使用しているので耐久性も期待できそうです。
エッジが青と赤になっているため左右が一目瞭然なのもお気に入りです。

イヤーパッドもサウンドハウスが交換方法を動画で公開してくれています。

経年劣化でも豊富な交換パーツで安心

購入した修理用パーツ

前述の通り、SONY MDR-CD900STは修理用パーツも充実しています。
サウンドハウスには実に20種類以上ものパーツがあり、ネジ一本から購入可能です。

もしヘッドホン選びに迷っているなら長く使えるSONY MDR-CD900STを断然オススメします。
クセのない出音、何よりこの軽さ(約200g)は絶対後悔しないハズです。ちなみにAppleのAirPods Maxは約385gで2倍近い重量です。