McIntosh MC30のヒューズが死んだので交換してみた

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先日ツイートした通り、筆者のメインシステムで使用中の真空管パワーアンプ、McIntosh MC30の整流管とヒューズがお亡くなりになりました。
そこで得た知見をまとめておきます。

McIntosh MC30が死んだ?!

McIntosh MC30が死んだ?!

いつものように音楽を聞こうと、プロケーブルの電源トランスをON。
アンプのウォームアップを待ち、Volumioを再生…あれ、右から音が出ない😰
ふと見ると、2台のMcIntosh MC30のうち1台の真空管群が全く点灯してない!
ノイズや異臭、発煙もなく静かなままだったのですぐに気づきませんでした。

一瞬、高額な修理代金💴 💴 💴が脳裏をよぎります。
「いや、待て。自分で直す方法を模索してみよう。」と少し冷静になってチェックと調査をしてみました。

原因を調査

経験則からしてシャーシを開けても原因は分からないことがほとんどです。
なので、まずは外観を調査します。しかしぱっと見は特に分かりませんでした。

整流管が死んでいた

電源ケーブルを外して10分程度待ち、真空管を一つずつ外してみます。

亀裂が入った整流管

整流管を持つとガラス部分とハカマがグラグラです。外してよく観察してみると普段はハカマ付近で隠れているガラス部分に亀裂が。

真っ白になったゲッター

銀色に輝いているはずのゲッターは真っ白になり、どう見ても整流管は死んでいる模様です。

整流管:交流から直流を得る (整流) ために用いられる電子管。(コトバンク
ゲッター:真空を完成させ維持するために、真空システム内に配置された反応性物質の堆積物のことです。(Wikipedia

整流管を換装

「予備の整流管に差し替えるだけでOKじゃね?」
当然やってみましたが、やはり電源は入りませんでした😭

ヒューズも死んでいた

最近、似たような故障があったような…あ、Technics SL-1200 MK5のヒューズ断線!と思い出してMC30のヒューズをチェック。

焦げたヒューズ

ヒューズを取り出してみると焦げたような痕がありました。整流管同様にヒューズも死んでいる模様です。

以前の記事にも書きましたが、ヒューズは

いわば安全を担保する最後の砦(とりで)

なので、小さい割になくてはならない存在なのです。

原因は整流管の故障によるヒューズ断線か

整流管とヒューズの死亡確認後にシャーシを開けてみましたが、コンデンサー他パーツの破裂等も確認できませんでした。
原因は整流管の故障によりヒューズに過電流が流れて断線したのだろうと思います。

ヒューズを探せ!

というわけで、肝心のヒューズの仕様を調べることにしました。
仕様はThe Tube StoreのMcIntosh - MC30 Service Manual & Schematicsを参照しました。
※こういった回路図やオーナーズマニュアルをさも貴重かのように売っている輩を見かけますが、探せば大抵のものはネットにあります。騙されないように気をつけましょう。 McIntosh以外でも古いアンプのマニュアル類はThe Tube Storeに少しありますよ。

McIntosh - MC30 Service Manual & Schematics

これを見ると「3AG 3A 250V」のようです。

A(アンペア)とV(ボルト)は分かるけど、3AGって何だ?🤔
調べてみるとヒューズのサイズを示すもので、OptiFuseによれば「AG」は「Automotive Glass(自動車用ガラス)」の略だそうです。

At that point in time, the “AG system” of fuse sized was adopted (the “AG” stood for “Automotive Glass”).

「ヒューズと自動車の黎明期はサイズの統一が行われておらず、その後の規格標準化の際にとられたのがこのAGシステムだった」とあります。

話を戻します。

Reference Length (inches) Diameter (inches)
3 AG 1 1/4 1/4

OptiFuseに掲載されている表を見ると3AGの長さは1 1/4インチ(31.75mm)、直径1/4インチ(6.35mm)です。 つまり250V 3A、長さ31.75mm、直径6.35mmのヒューズが該当パーツと分かりました。

もう一つ、忘れていけないのが溶断特性です。
ヒューズの溶断特性は速断型とタイムラグ型の2つがありますが、MC30 Service Manual & Schematicsにはそれらしき指定がどこにも見当たりません。
切れたヒューズの外観を見ると、どうもタイムラグ型っぽい。ネット検索してみたところAudiokarma.orgに以下のような投稿がありました。

None of the manuals or schematics say what type to use for the 30 or 60, all the other amps use a Slo-Blo but they are diode power supplies, use the fast for a cold turn on - if it holds up on the initial surge use it, if not go to the slo blo.

速断(fast blo)型でダメならタイムラグ(slo blo)型を試せば良いようです。うーん、アバウト😅
ヤフオクでは以下のように理由を記して該当ヒューズを販売している出品者がいました。

基本的に整流管を使用しているパワーアンプや真空管プリアンプにはスローブロー(遅延)ヒューズではなくファーストアクティングヒューズを使用します。整流管のゆっくりした電圧の立ち上がりや整流回路の平滑コンデンサーの容量が少ないので、ラッシュカーレントが大きくならないからです。

なるほど、とりあえず速断型で試してみます。

オーム電機 OHM DZ-GF

早速、Technics SL-1200 MK5のヒューズでもお世話になったヨドバシで探してみるとオーム電機 OHM DZ-GFが見つかりました。4本入で何と¥183!安っす😚

届いたヒューズをMC30に装着して、恐る恐る電源をON。。。何事もなく真空管に光が灯り、音も出た!直った!!!!!
その後、数日経過していますが、特に問題なく動いています。よかった〜🤗

というわけで、同じような症状に遭遇している方(どれだけいるのかは分かりませんが)、真空管アンプの電源が突然入らなくなった場合は整流管とヒューズをチェックしてみるのも手です。ヒューズが断線していた場合は仕様を調べるのをお忘れなく。