フォノイコライザー「AT-PEQ20」を改造してみた

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※2022年3月8日、「電源周りの対策」を加筆修正しました。

どんだけ周回遅れなのか分からないほどですが、今ごろオーディオテクニカのフォノイコライザー「AT-PEQ20」を改造してみました。

お断り

お約束ですが、改造はメーカーの保障を受けることができなくなるばかりか、最悪の場合は機材を損傷する可能性もあります。
トライする方は全て自己責任の上でお願いします。
なお、いかなるトラブルが起きても当サイトは一切の責任を負いません。

また、改造にはハンダごて、ハンダ、ハンダ吸取線、ニッパーなどの道具も必要です。

そうだ、フォノイコ買おう!

当時のアナログ周辺機材はこんな感じでした。
(どちらもMcIntosh C26内蔵のフォノイコライザーを使用)

  • Thorens TD520(SME 3012-R / Denon DL-102)
  • SME 3009 S2 Improved / Denon DL-110

特に不満もなくオーディオを楽しんでいたある日、フォノイコライザーは手付かずだったことを思い出してしまい
そうだ、フォノイコ買おう!
と思い立ってしまいました。

そんなわけで巷で評判の良いオーディオテクニカのフォノイコライザー「AT-PEQ20」を購入しました。

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AT-PEQ20の仕様
入力インピーダンス MM:47kΩ
MC:100Ω
入力感度 MM:4.5mV
MC:0.25mV
出力電圧 MM:250mV
MC:250mV
利得 MM:35dB
MC:60dB
SN比 MM:100dB
MC:74dB
RIAA偏差(20~20kHz) MM:±0.5dB
MC:±0.5dB
電源 DC12V 500mA JEITA
(付属ACアダプター/AC100V専用)
消費電力 定格消費電力:4.1W
最大消費電力:4.2W
外形寸法(突起部除く) H44×W105×D135mm
質量 約460g
フォノイコライザーとは大雑把に解説するとレコードに刻まれたとても小さな信号を増幅する機材です。略してフォノイコと言ったり、フォノアンプとも呼ばれます。
更に詳しく知りたい方はDenon official Blog 超初心者のための「フォノイコライザーって何?」が参考になると思います。

AT-PEQ20、ノーマルはごく普通のフォノイコ

AT-PEQ20 MMとMCカートリッジに対応しているAT-PEQ20は新品の実売価格が約1.5万円でコスパは群を抜いています。(MMとMCについての違いはPHILE WEB「始めよう!アナログレコード入門:カートリッジのMM/MCって?昇圧トランスってどんなもの?」に詳しく解説されています)
程度の良い中古で1万前後だと思いますし、数多く出品されているので入手性も高いと思います。

さて、到着したAT-PEQ20を早速セッティング。
ファーストインプレッションは…
うん、普通。」 全く何の感動もない、ただひたすら普通。
つまらぬものを買ってしまった、で終わらないのが自作er。
何か改造出来る点はないかと検索してみると、やっぱり先人達がいました。
特に参考にしたのがいこらいでした。(残念ながら画像リンクが切れたまま放置されているようです)

ふむ、オペアンプとコンデンサを換装することで音質向上が狙える…これはもうやるしかないでしょう!(オペアンプはエイブリック株式会社の解説が分かりやすいです)

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女神のオペアンプ「MUSES」

MUSES 改造のキモはオペアンプです。
オペアンプは各社からリリースされていますが、先人達のブログでほぼ必ず触れられる新日本無線のMUSESシリーズが良さげです。
ちなみにMusesは「ミューズ(ギリシャ語ではムーサ)」と読み、智(文芸、音楽、芸術、学問などをつかさどる)の女神たちの意味だそうです。

オペアンプには1回路入りと2回路入りがあり、AT-PEQ20は2回路入りが2つ(2ch分)使われています。
1回路入りを変換基板を用いて2回路入りとして使うことも可能ですが、パーツ間のマージンがないと設置出来ない場合もあります。1回路入りは色々と煩雑になりそうなので、ここでは2回路入りオペアンプを使うことにします。

様々なオペアンプの試聴比較を行ったイヤホン・ヘッドホン専門店eイヤホンのブログでは「MUSES01はクラシックに特化している感じがしますが、MUSES02はオールジャンル鳴らせる」とありましたので、MUSES02に決定です。(筆者はクラシックを聞かないので)

AT-PEQ20を改造する

改造用パーツの購入

必要なパーツを揃えます。
パーツは秋月電子通商で買い揃えました。

AT-PEQ20改造用パーツ一覧
品名 単価 個数

2回路入バイポーラ入力 高音質HiFiオペアンプ
MUSES02D
3400 2

オーディオ用無極性電解コンデンサ 33μF 25v 85℃
ニチコンMUSE・ES
20 2

オーディオ用電解コンデンサ 10μF 50V 85℃
ニチコンFG
10 2

オーディオ用電解コンデンサ 220μF 25v 85℃
ニチコンMUSE・KZ
40 2

オーディオ用電解コンデンサ 100μF 25v 85℃
ニチコンMUSE・KZ
30 2

合計7,000円(送料別)でした。

基板を取り出す

AT-PEQ20の背面
基板を取り出すにはAT-PEQ20の背面の四隅にあるビスを外します。

パーツを換装する

ハンダごてとはんだシュッ太郎
該当パーツを取り外します。
パーツの取り外しはハンダごてとハンダ吸取線を用いますが、この二つの機能を一つにまとめた「はんだシュッ太郎」があるとめちゃくちゃ便利です。

サンハヤト はんだシュッ太郎NEO 45Wタイプ HSK-300
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ハンダごては多少高価でも温度調整可能なタイプが絶対いいです。
筆者は最初に激安ハンダごてを買って結局この白光 FX600に買い替えました。パーツや配線材の太さ・材質によってはハンダが上手く乗らない場合があるので、最初から温度調整出来るタイプの方が後悔しません。

白光 ダイヤル式温度制御はんだこて FX600
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換装するのは以下のパーツです。
C32などのパーツ番号は基板上にプリントされています。(数字の前のCはCapacitor=コンデンサ、ICはIntegrated Circuit=集積回路、RはResistor=抵抗器を意味します)

  • C32・C33 → 33μF 25V
  • C44・C43 → 220μF 25V
  • C46・C47 → 100μF 25V
  • C50・C51 → 10μF 50V
  • IC3・IC4 → ICソケット(MUSES02D用)

AT-PEQ20パーツ換装該当箇所
赤く囲ったパーツが該当箇所です。(写真は換装後のもの)

既存パーツ取り外し後、基板に換装パーツを差し込みハンダ付けします。
MUSES02にはICソケットが付属していますので、まずはソケットのみをハンダ付けし、ハンダ付け完了後にソケットにMUSES02を差し込みます。
コンデンサも同様に既存パーツを取り外して換装します。
ハンダ付けの際は隣のホールやパーツ同士のショート、パーツの極性に十分注意してください。

AT-PEQ20パーツ換装後
写真手前が元々付いていたパーツ。左が新日本無線のオペアンプJRC 2068D、右がコンデンサ。

AT-PEQ20改造の結果は

MUSES02の実力に驚愕

AT-PEQ20パーツ換装後
いよいよオペアンプをMUSES02に換装後の試聴です。
噂ではエージングに長時間必要などという意見もあるようですが、エージングなしで一聴して驚くくらいの変化でした。
明るく明瞭な出音、音が踊っているかのような躍動感、音場の広さ全てが桁違いです。

フォノイコ本体が約1.5万なのに対して、オペアンプ2個で約7,000円と改造にしてはバランスの悪い出費と言えます。
しかし、この変貌ぶりを目の当たりにしてしまうと、やらない手はないと思います。

コンデンサ換装の効果はイマイチ

オペアンプを換装してしばらく後にコンデンサも換装しました。(本記事の掲載写真はオペアンプとコンデンサ、両方を換装後のものしかありません)

今回使用したコンデンサは全てオーディオ用ですが、価格は数十円と非常に安価なものばかり。
価格=音質というわけではありませんが、換装前との比較は正直ほとんど分かりませんでした。
今回の改造ではあまり意味がなかったと思います。
(というかオペアンプの衝撃が大きすぎて気づけなかったのかも知れません)

電源周りの対策

AT-PEQ20のプラグ形状に注意!

AT-PEQ20の給電はオーディオマニアが忌み嫌うAC/DCアダプターです。
電源対策を行う前に知っておかなくてはならないのが、同機のプラグ形状は外径5.5mm/内径3.3mm、しかもセンターピンありということ。
多くのACアダプターのプラグ形状は外径5.5mm/内径2.1mmのセンターピンなしです。同機のタイプは結構珍しい部類に入りますが、EIAJ(現・JEITA)4に対応した規格です。
EIAJ規格は電圧によって1〜5まで区分けされます。これについては共立エレショップに分かりやすい一覧があります。

EIAJ規格

(表は共立エレショップより引用)

EIAJ:日本電子機械工業会の略。現在は日本電子工業振興協会(JEADA)と合併し一般財団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)に名称変更。

ウルトラローノイズスイッチング電源を自作

iFi audio iPower IIのようなオーディオ用に特化したアダプターをあてがうのもいいんですが、どうせなら作ってしまえ!と、勢いでウルトラローノイズスイッチング電源を自作してみました。

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ここでは筆者が使用した材料のみ掲載して作り方は省きます。
正直、コストをかけすぎ(合計約1.9万円)ですし、やりすぎな感が否めません😂ので、あまりオススメはしません。ただ、効果は絶大であることは間違いありません。
※表示金額は購入時のものです。主な購入先はモノタロウ、秋月電子通商、若松通商、共立エレショップなどバラバラです。

品名 単価 個数
ダイトロン 超低ノイズスイッチング電源
LFS50A-12
11900 1
TDKラムダ ノイズフィルター
RSMN-2006
3290 1
TDKラムダ インレット・ノイズフィルター
RPE-2006
500 1
サトーパーツ ヒューズホルダー
F-4000-A
249 1
オーム電機 ガラス管ヒューズ
AC250V/2A
219 1
APEX マイクコネクタ
PLT-162-R-R
339 1
メタルコネクタ
MC-P2P
213 1
EIAJ 4プラグ
MP-204
102 1
メタライズドポリエステルコンデンサ
ECQE2 103KF
33 1
波動スイッチ
DS-059K-WD-K
167 1
タカチ 汎用アルミケース
MB14-8-20
1360 1
ニチフ 裸圧着端子
R形(100P) R24
622 1式
配線用線材、固定用ビス・ナット - 適宜

長々と書きましたが、電源の自作なんて出来ない(or面倒くさい)けど本格的にこだわりたい方はiFi audio iPower II、こだわりたいけどあんまりコストをかけたくない方はFX-AUDIO Petit Susieでお手軽に済ますのが吉でしょう。
※Petit SusieとAT-PEQ20オリジナルのアダプターを使う場合は変換プラグも必要です。

まとめ

AT-PEQ20の改造はオペアンプをMUSES02に換装するだけで十分すぎるほどの効果と価値があったと断言できます。

また、この改造でICソケット化出来たわけですから、別のオペアンプに換装する際はハンダ付けが不要になります。

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