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今回はかなり酷い針飛びがあるレコードを自力で直したお話です。
お約束ですが、確実に直るものではありませんし、高い確率で盤面にスリ傷が残ります。
これらの責任は一切負えませんので予めご了承ください。
直したレコード盤
筆者が直したレコード盤はBlue Noteの「Miles Davis Vol.1」(RVG刻印・耳マーク入)。
随分昔にヤフオクで意地になって競り落としたものですが、届いてびっくり。ジャケも盤もホコリまみれ。特に盤は長年のタバコのヤニと思われる汚れと大量の傷がついていました。(ジャンク扱いだったなので仕方がないですが😑)
これは盛大に針飛びするだろうな…と思いつつ針を落とすと5〜6箇所の針飛び。
思いの外少ないものの、直すのが面倒でずっとそのままにしていました。
特にSide 2、6曲目の中〜終盤の溝と並行する長い傷、(モノラル、重針圧のDenon DL-102ですら)この部分だけで4回も針飛びしました。
レコードの針飛びは、ある程度直せる
レコードの針飛びは100%直せるとまでは言いませんが、ある程度は直せます。
必要なものは
- 爪楊枝(数本)
- 自立式ルーペ
- ライト
- 根気
実は一番最後の根気が一番大切です😅
レコードの針飛びの直し方の前に
レコードの溝について知る
針飛びの直し方の前にレコードの溝について知っておきましょう。
(画像は価格.comマガジンより引用)
上の画像のようにレコードに刻まれた溝(音溝 おんこう)をレコード針がなぞることで音が出ます。
針飛びを直す=潰れた溝を掘り起こす
針飛びはレコード針が溝をなぞることが出来ないために起こるものです。
溝をなぞることが出来ない理由は傷が溝を潰しているからです。
つまり
針飛びを直す=潰れた溝を掘り起こす
ということです。
それを直すための道具が爪楊枝です。
傷の種類によって難易度が変わる
レコードについた傷の種類によって難易度が変わります。
溝に対して垂直の傷は比較的直しやすいです。
これは溝に触れている傷部分が少ないからです。
一方、溝に対して並行に近い傷は比較的直しにくいです。
これは溝に触れている傷部分が多く、修正すべき部分が多いからです。
また溝と同じ流れになっているため、下手をすると溝が余計に潰れて状況が更に酷くなる可能性もあります。
爪楊枝を使う理由
爪楊枝を使う理由は木で出来ているため適度に柔らかいからです。
針のように硬く鋭いものでも良いのですが、相当熟練していないと逆に傷が増えるだけです。
レコードの針飛びの直し方
針飛びする箇所をマーキング
筆者の針飛び箇所にはすぐに分かるほど酷い傷がついていたのでそのまま行いましたが、針飛びする箇所が分かるように付箋やシールを貼ってから作業を行うのが良いでしょう。
ルーペとライトは必須
自立式ルーペとライトは必須です。 ライトは様々な方向から当てて溝の具合を確認するのに役立ちます。
筆者はハンダ付け用に購入した拡大鏡LEDライト付きのスタンドルーペを使用しました。
こまめに針飛びの度合いを確認しよう
やり始めると補修作業に没頭しがちですが、こまめに針飛びの度合いを確認するようにしましょう。
万一、針飛びが酷くなっても被害が最小限に食い止められるからです。
いざ、爪楊枝で傷直し
溝を直すのは爪楊枝をレコード針に見立てて、傷のある溝を何度もトレースします。
トレース方向はレコード針と同じ反時計回りに行います。
うまく傷のある場所に爪楊枝が入ると「コリッ」とした感触があるはずです。
その該当箇所にほんの少しだけ力を入れてなでる感じです。
作業の模様を動画にまとめましたのでご覧ください。
筆者はこの方法で針飛びを直しましたが、めちゃくちゃ時間がかかりました😭
正直、よほどお気に入りのレコードでない限り、この手間はかけたくないです。。。
最後に針飛びが直ったレコードの動画も置いておきます。(iPhoneで撮影・録音しただけなので少し聞き取り難いです)
※モノラル針のDenon DL-102(針圧3g)はOKでしたがステレオ針のDenon DL-110(針圧1.5g)、Ortofon Concorde Nightclub E(針圧3g)は針飛びしました。
みなさんのレコードも復活することを祈っています🙏
おまけ
針と溝
レコードの溝と言えばカメラマン・齋藤圭吾氏の著書「針と溝」という本が変態チックでかなりよかったです。
ひたすらレコード盤の音溝とレコード針「だけ」が掲載されています。
(こんな本、誰が買うんだ?と思っていましたが、レビューがついているので自分以外にも購入者がいてちょっと嬉しかったです)
音のかたち
「針と溝」の著者、齋藤圭吾氏をカメラマンに起用(もともとカメラマンですが)したグラフィックデザイナー・有山達也氏の著書「音のかたち」も、これまでのオーディオ本とは一線を画しています。
合田健介(合研ラボ)、ティム・デ・パラヴィチーニ(EAR)両氏へのインタビューもあり、薄い本でも内容は非常に濃いです。