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筆者は基本的にオーディオ用の電源ケーブルとラインケーブルは自作しています。
今回は自作ラインケーブルの比較試聴について書いてみます。
自作時の難易度も少し併記していますよ。
はじめに
ここで書く試聴の印象はあくまで筆者の環境において感じたものです。
すべての人に共通するものではありませんし、機材や部屋の環境によっても異なります。
個々人の好みもありますので参考程度に考えて頂ければ幸いです。
筆者の環境
筆者の比較試聴環境は以下の通りです。
- スピーカー:Stephens Trusonic 206 AX(オリジナル米松キャビネット)
- プリアンプ:McIntosh C26
- パワーアンプ:McIntosh MC30×2台
- 入力ソース:Volumio (Raspberry Pi 4 Model B 4GB / IQaudiO Pi-DAC+)
今回はプリ、パワー間のケーブルとして制作して比較試聴しています。
ビンテージ機材ばかりですが入力ソースは色付けの少ないVolumioを用います。
試聴はKeith Jarrett「The Köln Concert」で行いました。
👉 Raspberry Piでハイレゾ再生環境をつくってみた(その1・Volumio下準備編)
👉 Raspberry Piでハイレゾ再生環境をつくってみた(その2・Volumioインストール編)
比較試聴ケーブル一覧
比較試聴したケーブルは以下の通りです。
品名 | 芯数 | 外径 (mm) | 単価 (/m) |
---|---|---|---|
Belden 88760 | 2 | 3.63 | 528 |
Belden 8412 | 2 | 6.65 | 495 |
Belden 1192A | 4 | 6.2 | 275 |
Mogami 2534 | 4 | 6 | 176 |
Gotham GAC-2111 | 2 | 4.5 | 550 |
なお、RCAプラグはTomoca JS-65(¥195/個)、ハンダはオヤイデ音響専用ハンダ SS47-50(¥1452)を使用しました。
※表示価格は全て本記事執筆時点(2020年7月4日)のものです。
各ケーブルの最後には完成品へのリンクも置いてあります。自作出来ない方は完成品購入の検討をしてみてはいかがでしょうか。
評価基準
総合、高音、中音、低音、音場、音像、コスパの7項目を以下のようなレーダーチャートで表示しています。総合は他の6項目の平均値で、各項目の最高点は5、最低は0です。
ケーブル比較試聴
Belden 88760(¥528/m @サウンドハウス)
Belden 88760は細く赤い被覆が印象的。
押し出し感、迫力感、音像、音場、全てがリアル。
ただし高域のアタックが耳につく場合もあり。
被覆が硬く、取り回しに若干難があります。
反面、被覆下の構造はシンプルなためケーブル制作は容易、耐熱性も高いのでハンダ付けも簡単です。
Belden 8412(¥495/m @サウンドハウス)
超ド定番ケーブル、Belden 8412。
全体的に元気がありつつ、どっしりとした中低音の厚みと艶に聞き惚れます。
88760と比べると若干ナローレンジですが、この艶はそれを補って余りある魅力があります。特にビンテージ機材との相性は抜群と思いました。
被覆は柔らかく取り回しやすいですが、網状シールドを解すのに手間がかかります。
88760とは逆に被覆下が網状シールドや繊維で覆われているためケーブル制作はやや面倒です。
Belden 1192A(¥275/m @サウンドハウス)
今回取り上げたBeldenの中では最も安価。筆者宅のラインケーブルはこれを基本としています。
やや明るめで現代的、高域の粒立ちが特徴。
今回取り上げた中では拍手の音が最もリアルに聞こえました。
被覆は細く柔らかで取り回しやすいです。
4芯シールドでノイズにも強く、単価も安いので長尺でもバンバン使えます。
4芯でもケーブル制作は比較的容易。網状シールドを解すのにやや手間がかかります。
Mogami 2534(¥176/m @サウンドハウス)
今回取り上げたケーブルの中ではダントツで安いケーブルです。
音質は良くも悪くも中庸、特徴も派手さもクセも色付けもないフラットなケーブル。言うなれば毎日食べても飽きない主食のよう。
これをリファレンスケーブルにするのは悪くないと思いました。(ただ、これだけだと面白味に欠けるのもまた事実)
Belden 1192Aと同様に細く柔らかい被覆で取り回しやすく、4芯でもケーブル制作は比較的容易。
特に被覆下のシールドが螺旋状のため解しやすいのが助かります。
Gotham GAC-2111(¥550/m @Garretaudio)
スイスのGotham社のケーブルで、このGAC-2111は伝説のオーディオケーブルEMT-2111を復刻したものだそうです。
薄いグレーの被覆には表記が一切なく、パッと見はLANケーブルのよう。
音質は全帯域のバランスはとれているものの「大人しい」の一言。何も突出した印象がなく、ちょっと拍子抜けしました。
ただ、しばらく聞き続けていると何とも言えない心地よさを感じました。包容力とでも言えばいいのか、実に気持ちがいいです。でもちょっと高過ぎるかな。。。
柔らかい被覆ですが、やや粘りのある素材で意外と切りにくいです。
芯線の外皮が熱に弱く、ハンダ付けはスピーディに行う必要があります。
番外編:Western Electric 錫メッキ シールド線(¥2,000?/m @ヤフオク)
随分前にヤフオクで入手した怪しげなWestern Electricのシールド線です。
一時期は三編みにして電源ケーブルにも使用したりしましたが、何だかんだでプリ・パワー間はこれをずっと愛用しています。
艶感は突出していて、Belden 8412とは真逆の落ち着きすら感じます。柔らかい、ふくよか、豊か、などといった表現がピッタリです。
特に音場が非常によく、ライブ会場のスケールを最も再現しているように思いました。
被覆が非常に剥きにくい、網状シールドが非常に解しにくい、ハンダ付けは芯線のコーティングを削る必要があるなど、ケーブル制作の手間や難易度が高いです。
正直、面倒くさ過ぎて自作加工したくないケーブルです😅
まとめ
レーダーチャートの点数が高くても使い所や分量によっては全体のバランスが派手すぎたり、地味すぎたり偏ることもあると思います。
色々試しながら適材適所でケーブルをチョイスして楽しむのがベターかなと思っています。
あくまで筆者が感じた限りでは
- 比較的新しい機材でワイドレンジなハイレゾなどのデジタル音源がメインならBelden 88760
- ビンテージ機材メインでデジタルもアナログも艶っぽく再生したいならBelden 8412
- 機材問わず、色付けも不要、ただひたすらフラットとコスパを求めるならMogami 2534
といったところです。