TANNOY GOLD 5とKRK ROKIT RP5 G2を出来るだけ理論的に比較してみた

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昨年末に公開した記事「TANNOY GOLD 5とKRK ROKIT RP5 G2を比較試聴してみた」はTANNOY GOLD 5の人気のせいか、多くのアクセスがありました。
あれから約4ヶ月。今回は両機を違う角度から再度比較してみます。

出来るだけ冷静に比較してみる

検索結果

相変わらずネットではTANNOY GOLD 5は絶賛されています。
そんな中で否定的なのは筆者ブログ記事ともう1件だけで、悪目立ちしている感すらあります😅

当初、約4ヶ月間使用したTANNOY GOLD 5がファーストインプレッションとどれだけ変わるのかを前回と同じように書いてみようと思っていたのですが、感覚的なことを書いても他者と同じで面白くないので、なぜネガティブに感じたのかを出来るだけ冷静に書いてみます。

TANNOY GOLD 5とKRK ROKIT RP5 G2の周波数帯域を測定してみた

筆者は前回の記事でTANNOY GOLD 5は「刺々しさと荒っぽさが目立つ」と書きました。
その理由をエージング未完了だからだと思っていたのですが、少しでも理論的に説明できないかと思い、周波数帯域を測定してみることにしました。
測定しようと思った理由は、周波数特性による特徴が好みに直結しているからです。

Room EQ Wizardで周波数特性を測定

Room EQ Wizardで周波数特性を測定した

測定は以下の機材を用いて行いました。

長くなるのでREWのセッティング方法は端折りますが、筆者はオーディナリーサウンドおとにまの記事を参考にしました。正直、まだREWの使い方をよく理解していませんが、測定した周波数特性だけは間違いないです。

※BEHRINGER ECM8000の固定はカメラ用三脚でも可能です。ただし、1/4スタンド - 5/8ホルダータイプのような変換金具が必要ですのでご注意を。

TANNOY GOLD 5はカマボコ型

TANNOY GOLD 5 TANNOY GOLD 5の周波数特性

スムージング処理(平均化)していないグラフでもTANNOY GOLD 5はカマボコ型であることが分かります。上下もほぼ-10dB以内に収まっていますね。
2kHzあたりで少し凹んでいるのはクロスオーバーでしょう。

クロスオーバー:入力された信号を、周波数帯域別に分ける装置。低域、高域など、それぞれのスピーカーの能力に見合った再生周波数へ分割するためのフィルターとなるものが、クロスオーバーとなります。再生周波数帯域を二つ以上に分割して、それぞれを個別のユニットで再生するようにした、マルチスピーカーシステムの効果を発揮する為になくてはならない存在です。(サウンドハウス
1/3にスムージングしたTANNOY GOLD 5の周波数特性

スムージング(1/3)後の計測結果はこちら。

メーカーが公表しているTANNOY GOLD 5の周波数特性

ちなみにこれがTannoyで公開されている周波数特性。大体同じですね。

KRK ROKIT RP5 G2は右肩下がり型

KRK ROKIT RP5 G2 KRK ROKIT RP5 G2の周波数特性

対してKRK ROKIT RP5 G2は右肩下がり型です。
TANNOY GOLD 5に比べると振り幅が大きいことが分かります。
こちらのクロスオーバーは3kHzで、やはりその周辺が凹んでいます。

1/3にスムージングしたKRK ROKIT RP5 G2の周波数特性

スムージング(1/3)後の計測結果はこちら。

重ねてみると違いは一目瞭然

TANNOY GOLD 5とKRK ROKIT RP5 G2の周波数特性

TANNOY GOLD 5(赤)とKRK ROKIT RP5 G2(緑)の計測結果を重ねて表示してみると非常にわかりやすいです。

1/3にスムージングしたTANNOY GOLD 5とKRK ROKIT RP5 G2の周波数特性

スムージング(1/3)後の計測結果を重ねるとこう。

スピーカーの周波数特性による3タイプの特徴

スピーカーの周波数特性による3タイプの特徴

(画像はSBクリエイティブOnlineより引用)
いきなりグラフが現れて「は?」と思われたでしょうが、スピーカーの周波数特性は大きく分けて

  • 右肩下がり型(KRK ROKIT RP5 G2がこれ)
  • ドンシャリ型
  • カマボコ型(TANNOY GOLD 5がこれ)

の3タイプがあります。
それぞれの特徴をSBクリエイティブOnlineより一部引用します。

右肩下がり型

大型スピーカーに多く見られる周波数特性です。<中略>「低音がしっかり出て、あまり高音がシャリシャリしない」音になります。多くの人が「心地良い」と感じやすい周波数特性です。

ドンシャリ型

低音と高音がともに強いので、真ん中の帯域を占めるボーカルは引っ込み気味ですが、ドラムやベースの音が強くなり高音も強めなので、右肩下がりよりも「バックの楽器の演奏がしっかり聞こえる」ようになります。ジャズや、タイトでハイファイ(高再現性)なロックを好む方に向いていることが多いです。

カマボコ型

低音と高音が丸められる(≒弱い)のでソフトに聞こえることが多く、ボーカルが他の2つの周波数特性より断然前に出てきます。よって 「オケよりボーカル主体で聴きたい」方が好む のです。「オケがボーカルを邪魔しない」という言い方をする人もいます。

まとめ

つまり筆者は大型スピーカーに多く見られる右肩下がり型が好きで、ボーカルが前に出るカマボコ型が苦手ということですね。普段から38cm口径のスピーカーを愛用しているので自分で納得しました。

3つの周波数特性から自分の好みを探そう

購入を検討中の方は、前述の右肩下がり型、ドンシャリ型、カマボコ型の3つの特徴を頭に入れた上で必ず実機を試聴することを強くおすすめします☝️
少なくとも、ご自身が3つの特徴のうち、どれが好きなのかくらいは把握しておきましょう。

カマボコ型が好きな方はTANNOY GOLD 5は買い

カマボコ型が好きな方はTANNOY GOLD 5は高コスパであることは間違いないでしょう。
ただし前回も書いたように、デメリットもありますのでこれらを忘れずに。

  • ステレオミニ入力はあるがRCA入力がない
  • ハイレゾ非対応
  • TRIM最小でも音量が大きすぎるのでプリアンプかミキサーが必須

転売ヤーに注意!

TANNOY GOLD 5はアマゾンやYahoo!ショッピング、楽天等でも在庫が回復し、2021年10月下旬頃から価格は¥27,800(1本)前後で推移しています。
オークションやフリマアプリで高値転売されているものを掴まされないよう注意しましょう。

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