Thorens用強化電源のクローンを自作してみた(制作編)

Thorens用強化電源クローンの制作編です。必要な工具やパーツは準備編をご覧ください。
※お約束ですが、本記事をもとにして事故や怪我をしても筆者は一切の責任を負いません。

基板実装

自作強化電源の基板実装

準備編で紹介したドイツの参考元サイトの回路図をもとに基板実装します。非常にシンプルな回路で、特に難しいこともないのですが、付け間違いには気をつけましょう。 筆者は回路図を見たままの方がやりやすいため4本のダイオードをダイヤ型に実装しました。
慣れている方なら基板はこの半分くらいのサイズでも余裕じゃないでしょうか。

この投稿をInstagramで見る

Audio Beginner(@audio_beginner)がシェアした投稿

この制作過程は先日、Instagramに投稿しました。
ケーシングの前にバラック状態で電圧チェック。純正ACアダプターの定格電圧は18V、TPN-2000は17V、本機は実測値16.5V前後でした。

ケーシング

ケースの選定

タカチのSYシリーズ

(画像はタカチ電機工業から引用)

どうせ作るならオリジナルに似せてみようと思い、ケースを探したところかなり近い雰囲気のものを見つけました。タカチから発売されているSY-150BがTPN-2000とそっくりです。
TPN-2000のサイズはW150×H70×D140ですが、SY-150BはW149×H54×D170。若干の差はあれど、サイズも非常に似ています。

タカチのケースSY-150B

パーツをバラックで組んだ後、原寸大ダンボールでシミュレーションの結果、SY-150Bに決定しAmazonで購入しました。

穴あけ

Adobe Illustratorで穴あけ用図面を書き起こし

穴あけ前にAdobe Illustratorを使って穴あけ箇所を原寸大図面で書き起こします。
図面をプリントアウトしてカット後、マスキングテープでケースに固定します。

小さくて薄いSY-150Bのアルミパネル

SY-150Bは前後パネルがアルミ、上下はプラスチック製です。アルミパネルは小さい上に板厚1mmしかないので、穴あけ中にズレたり摩擦熱が伝わりやすいです。
クランプで固定してから作業しましょう。

完成

パーツをケースに固定

トランスや基板をケースに固定し、

パネルにジャック類を取り付け

前後パネルにもジャック類を取り付け、トップケースを付けて完成です!

電圧・電流の計測

完成後、TD520を接続して実際にレコードをかけながら計測しました。

16.35V

電圧はAC(交流)16.35V。
※ThorensのACアダプターはAC-DCではなくAC-ACです。

0.019A(19mA)

電流は0.019A(19mA)。

28℃

起動して30分後のトランス周辺温度は28℃(室温26℃)。
三端子レギュレータを使ったリニア電源のように派手な放熱はありません😉
※温度は数時間後も変化がありませんでしたが、SY-150Bは密閉型のため様子を見ながら使用しています。

オリジナルとの比較

外観比較

外観比較

オリジナルと外観を比較してみました。 左列がオリジナル(画像はオーディオユニオンより引用)、右列が自作です。
大きな違いはオリジナルはケーブルがジャックを介さず直結であることと、インレットがスイッチとヒューズの一体型になっていることですね。
自作機はDCジャックを配したケーブル着脱型、インレットはノイズカットフィルター付きでスイッチとヒューズは別けています。
筆者はこのTDKのノイズカットフィルター付きインレットをRaspberry Pi用のリニア電源で使って以来、非常に気に入っています。

画像名

(画像はハイファイ堂より引用)
ちなみにTPN-2000のフロントパネルのロゴ位置はロットによって微妙に異なるようです。
前出の写真のようにパイロットランプよりやや上だったり水平だったり、ロゴ自体がない個体も見受けられます。
トップカバーのロゴも黒プレートにエンジ色のものや黒プレートに白抜きのものもあります。

内部比較

内部比較

内部比較です。
左がオリジナル(画像はON OFF Hifiより引用)、右が自作です。
オリジナルの特徴はトランスが2つあることです。そして入力電圧は110、115、230、240Vの4種に対応していることが分かります。
オリジナルの基板には電子部品が見当たらない(基板裏にはあるかも)ので、2基のトランスだけで機能を担っているのかも知れません。
一方の自作機はトランスは1つで100V入力のみです。

まとめ

準備編の冒頭で述べた通り、この強化電源にしたところ継続的なノイズが消えました。
筆者としてはこれだけでも制作した価値があると思っています。
また、音質的にもメリハリがよくなり見通しが改善されました。

TPN-2000を試したことがないため比較はできませんが、約9千円でこの効果なら全然アリだと自作自賛しています😄

おまけ(その1):DCケーブルの制作

Thorensのプラグは特殊な形状

Thorensは巷でほとんど見かけないAC-ACアダプターを採用していただけでなく、DCプラグの形状も特殊です。
左のプラグがThorens、右が筆者が購入したパーツです。Thorensは先端が少し太くなっているのが分かります。しかもTD520本体側のジャック入り口が深いためプラグによっては届かないこともあります。(実際、L字型プラグは届きませんでした)

自作DCケーブル

幸い、長さが違う以外は一般的な外径5.5×内径2.1mmのプラグで使えますので、TD520側をロングタイプ、強化電源側はノーマルタイプ、ケーブルはBelden 8460でDCケーブルを制作しました。
Belden 8460にしたのはオヤイデ電気ショップブログで評価が高かったからです。(実は今回制作した強化電源の端子台〜DCジャック間にも使っています)
※Belden 8460は外径が太く、筆者が使用したロングタイプのDCプラグのブッシングが通らなかったため、ブッシングをリーマーで拡大しています。

ちなみにBelden 8460はサウンドハウスで販売されています。価格は¥180/1mで、ここがダントツで安いです。
スピーカーケーブルに使うことがほとんどですが、ギターの内部配線や今回のようにDCケーブルとしても使えます。

おまけ(その2):回路図の整合性チェック

強化電源を自作するにあたり、情報収集している過程で見つけた面白いサイトを紹介します。

Circuit Simulator Applet

Circuit Simulator Applet
このアプレットは回路図の整合性だけでなく電圧・電流も視覚的に把握できるスグレモノ。
いまいち把握しにくい電流を視覚化してくれるのは非常にありがたいし勉強にもなります。

画像名

これを使った今回の強化電源の回路図はこんな感じです。実にわかりやすいですね。
作業途中でもテキストファイルでデータをセーブ&ダウンロード出来るため、複雑な回路もこれでテストしてから回路図を書き起こす、なんて使い方も出来ますね。